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袂(たもと)とは?

着物の豆知識

紫の袴にオレンジと緑の振袖を着た女性

袂とは?

袂とは、着物の袖全体の総称のことです。
袂は、袖全体の中でも特に長く袋のように垂れた丸み部分を呼ぶことが多いです。また、そば(側)や わき(脇)、ほとり(畔)を意味しています。

袂の語源・由来とは?

袂(たもと)は、“手(た)”と“本(もと)”から成り立っている語で、「手元」に由来します。
袂が“そば(側)” “わき(脇)” “ほとり(畔)”を意味しているというのも、この「手元」の意味からと言われています。
奈良時代以前は、肘から肩にかけての部分※を「袂(たもと)」と表現し、平安時代以降には、現在同様に着物の袖付けから袋のように垂れ下がった部分も示すようになりました。袂は、袋状になっていることからポケットとしての役割も兼ね備えるようになりました。
※一説には、手首や袖口あたりを袂としていた
袂という漢字は、「衣」に 切り込みを入れるという意味をもつ「夬」を付けて作られている文字で、胴の両脇を切り取って付けた「たもと」を表しています。

袂(たもと)を使った慣用句

●袂に縋る(たもとにすがる)
→相手の同情を引き、必死に求めることのたとえ。自分の願いをきいてもらうため、 和服の袖の垂れ下がった部分である袂を捉えて引き留めるという意味から。

●袂を絞る(たもとをしぼる)
→号泣すること。 涙で濡れた袂を絞る、袂が絞れるほどに涙を流すという意味から。

●袂を連ねる(たもとをつらねる)
→仲間となる。行動を共にするという意味。

●袂を分かつ(たもとをわかつ)
→これまで一緒に行動していた人と離れる。親しくしていた人との関係を断つという意味。

振袖における袂(たもと)の扱い方について

振袖は袂が大変長いため、袂の扱い方を知っておくことで、振袖を着用した際の立ち居振る舞いに品が出ます。
・階段を昇り降りする際には、袂が床についたり、踏んでしまうことがないようにしましょう。
・腕を伸ばす動作をする際には、袂を反対の手でおさえながら行うようにしましょう。
・椅子に座る際には、両方の袖の袂を重ねて膝の上に置くようにしましょう。
・トイレを使用する際には、袂を帯にはさんだり縛ったりすることで汚れを防ぐことができます

袂はポケット?男性と女性とでは出し入れする箇所が違う!?

先程、袂はポケットとしての役割も兼ね備えているとお伝えしましたが、男性と女性とではものを出し入れする箇所が異なるので覚えておきましょう。

◆男性…男性の着物の袂は、袖が完全な袋状になっているため、袖口から物を出し入れします。
◇女性…女性着物の袂は、袖の後ろ側が開いているため、袂の後ろを前の方に回して物を出し入れします。

まとめ

袂が着物のどの部分にあたるのかお分かり頂けましたでしょうか。
袂をポケットとして使用する場合には、男性と女性とでは物の出し入れする箇所が異なるため、女性がうっかり袖口から物を取り出さないように気をつけましょうね。

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