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着物の袖とは?

着物の豆知識

ピンクの着物を着た女性

着物の袖とは?

着物の袖(そで)とは、着物の部位の名称の一つです。袖は、腕を覆う部分をいい、別に袂(たもと)ともいいます。
袖を表す文字としては、昔は衣手、外手としたそうです。
着物の身頃(みごろ)の外側にある部位という意味なので、わかりやすいですよね。

着物の部位である袖

【右袖と左袖】右手を覆う袖のことを「右袖」、左手を覆う袖のことを「左袖」と言います。

【前袖と後袖】
袖山(そでやま)を基点として、前方向にある袖が「前袖」。 後ろ方向にある袖が「後袖」です。

和服を仕立てる際には、袖下の縫い代を「前袖側」に倒します。着物の裄直し(ゆきなおし)の際など、両袖を外してしまって左右がわからなくなってしまったときには、袖の丸みや袖下の縫い代がどちらに倒してあるかを確認することによって、左右の袖の区別をすることができます。

着物の袖の種類

着物の袖には、様々な種類のものがあります。
着物の中で最も格式の高い正装として「振袖」と「留袖」がありますが、振袖は主に未婚女性の着る着物、留袖は既婚女性の着る着物です。

【振袖(ふりそで)】
袖が長いという特徴の振袖ですが、袖の長さによって3つの種類があります。振袖の格としては、その袖の長さが長いほど高くなります。
・大振袖~成人式で着る大振袖は、成人式や卒業式はもちろん、結婚式の参列などにも着ることのできる未婚女性の「第一礼装」です。長さは、三尺以上(114cm前後)です。

・中振袖 ~大振袖と同様に、未婚女性の第一礼装として、結婚式などで着ることのできる着物です。かつては、成人式などでは中振袖が主流でしたが、より豪華に華やかにより長い袖の大振袖に現在は移行しています。長さは、二尺五寸尺(95cm前後)です。

・小振袖~卒業袴などに着ることのできる着物で、格としては「おしゃれ着」になります。といっても、最近では袴にも大振袖で合わせることも多くなってきましたが、袴には二尺袖の小振袖が一般的です。
長さは、は二尺(75cm前後)です。

【留袖(とめそで)】
留袖は、袖丈の短い着物で、裾部分(下半身部分)のみに文様があしらわれた礼服です。
明るい色を使った「色留袖」と黒地の「黒留袖」があります。
・黒留袖~既婚女性の第一礼装で、黒地の着物に家紋の五つ紋を入れます。仲人や子どもの結婚式などに着ることができます。
・色留袖~色留袖は、未婚の方でも着用できる着物です。こちらも第一礼装ですが、黒留袖よりは少し格式が下がります。色留袖には、紋の入っていないものから、一つ紋、三つ紋、五つ紋があり、紋が多いほど格が高くなります。

その他の袖として…

【元禄袖(げんろくそで)】
元禄袖は、袖丈が短く袖の丸みが大きいものです。女児や女性用の着物に用いられます。
・袖丈は子供物で7寸9分~1尺5分(約30~40cm)、女性用で1尺1寸~1尺2寸(約42~45cm)です。
・袖の丸みは子供物で2寸6分~2寸9分(約10~11cm)、女性用で2寸1分~3寸9分(約8~15cm)です。
袖丈が短い上、丸みが大きいため袂(たもと)が邪魔にならず、普段着に向いています。

【船底袖(ふなぞこそで)】
船底袖は、袖下が船底形の丸みのある形で、袖口に向かうほど袖が細くなっていく特徴があります。船底袖は緩やかなカーブで短くなるつくりのため、3歳頃までの男女児や、それ以降の男児の着物、普段着、作業用・家庭用の上着などに用いられます。

【筒袖(つつそで)】
筒袖は、袂の部分がなく、筒のような形をした袖です。筒っぽ、筒袍(つつっぽう)とも呼ばれます。筒袖は袂がないことから、袖が引っかかりにくいため、男児用の着物や大人の普段着、作業着など、動作の多い衣服に用いられます、また、肌襦袢(はだじゅばん)や法被(はっぴ)などにも用いられています。

振袖が誕生したきっかけとは?

未婚女性の象徴として着用されることもある振袖ですが、その誕生のきっかけは歴史上の人物など偉大な立場の人ではなく、意外にも「踊り子」だったそうです。踊り子とは、現代でいうダンサーにあたるもので、人前で踊りを披露することを仕事としていた人です。

なぜ、踊り子の人々が振袖を考案したのか、その経緯は「踊りをより優雅に見せるにはどうしたらよいのか」といった部分への追求でした。小袖と振袖では、見え方に大きな違いがあります。振袖を着用して踊ることで、躍動感・優雅さ・感情表現などがグレードアップするのでしょう。

また、振袖は好きな男性へ気持ちを伝えることができるという意味でも女性にとても人気があったそうです。

本来、昔の独身女性たちは好きな人へ気持ちを言葉で伝えることがタブーとされていました。そんな中で、踊り子のように振袖の袖を左右に振る仕草で「好き」という気持ちを表現していたのです。

逆に、悔しいといった思いを表現する際には、袖を口にぎゅっと噛むことで表現していたそうです。

袖を使って上手に振る舞うことで、優雅な色気や感情を表現していたのですね。

まとめ

いかがでしたか?着物には様々な部位がありますが、それぞれにきちんと役割や意味があります。専門的な部分ではありますが、その点を理解することでより着物を深く楽しむことができるようになるはずですよ。

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