戌の日の安産祈願とは?いつ、どこで、何をするのかをわかりやすく説明
戌の日の安産祈願とは、妊娠5か月目の「戌(いぬ)の日」に安産を願う伝統行事です。
戌の日の安産祈願では腹帯を巻く「帯祝い」を行うのですが、初めての妊娠だと、なぜ戌の日?どこで安産祈願を行うの?腹帯を巻く意味は?と、わからないことばかりで不安に感じる方も多いようです。
そこで、戌の日の安産祈願ではいつ、どこで、何を行うのかを詳しく紹介します。

戌の日の安産祈願とは
戌の日(いぬのひ)の安産祈願は別名「戌(いぬ)の日参り」とも呼ばれ、妊娠5ヶ月目(16~19週目頃)の最初の戌の日に、安産を願って神社やお寺でご祈祷を受ける風習のことをいいます。
この戌の日(いぬのひ)とは十二支の「戌(いぬ)」にあたる日で、十二支は年だけでなく月や日にも割り振られているため、戌の日も12日に1度めぐってきています。
ではなぜ、安産祈願をするのが戌の日なのかというと、犬は多産なのにお産が軽いことから「安産の守り神」として昔から親しまれていました。
そのことにちなんで、戌の日に安産祈願を行うことが定着したといわれています。
戌の日の安産祈願で行う「帯祝い」とは

この戌の日の安産祈願では、「帯祝い」を行います。
「帯祝い」とは?
神社やお寺で安産祈願のご祈祷を受けるとき、妊婦のお腹に巻く「岩田帯(いわたおび)」と呼ばれるさらしの腹帯を持ち込み、ご祈祷してもらいます。
ご祈祷後は、「岩田帯」を妊婦さんのおなかに巻く「帯祝い」の儀式を行います。
岩田帯(いわたおび)とは?
「岩田帯」は穢れや災いから身を守る「斎肌帯(いはだおび)」が語源といわれ、岩のように頑丈で強い赤ちゃんになるようにという願いが込められています。
また、下腹部に腹帯を巻くことで妊婦さんのお腹を支え、保温をすることで、日々成長する赤ちゃんを冷えや衝撃から保護するのにも役立ちます。
岩田帯は誰が用意するもの?
この岩田帯は妊婦さんの実家から、妊娠5か月目の戌の日の半月前から当日までに、鰹節や祝い酒などとともに贈るのが習わしといわれています。
しかし最近は、妊婦さんが自分で赤ちゃん用品店やネットショップなどで購入することも。色柄なども豊富にあるため、好みのものを選ぶことができます。
また、安産祈願で有名な神社やお寺では岩田帯が用意されていることもあるため、安産祈願する予定の神社やお寺に、事前に「岩田帯は自分で用意する必要があるのか」を確認しておくことが大切です。
安産祈願に岩田帯は絶対に必要?
最近は、安産祈願のご祈祷のあとに帯祝いを行わず、ご祈祷していただいた腹帯をそのまま持ち帰る方も増えています。
実際に巻くことはしなくても、昔ながらの風習を重んじて安産祈願に腹帯を持参する方が多いようですが、安産祈願に必ずしも腹帯が必要なわけではありません。
帯状のさらしの腹帯は実用性に欠けるため、安産祈願に持参しないという方も増えてきており、巻く予定がないのなら無理に用意しなくてもいいでしょう。
妊婦帯でもご祈祷してもらえる?
実は、伝統的な一枚布の腹帯ではなく、実用性の高い腹帯を使用する妊婦さんが増えたことから、妊婦帯と呼ばれるパンツタイプや腹巻タイプの腹帯でも、ご祈祷を受け付けてくれる神社やお寺が増えています。
しかし、神社やお寺によっては伝統的な岩田帯しかご祈祷をしてもらえないところもあるので、妊婦帯をご祈祷いただきたい場合には事前に確認しておきましょう。
ご祈祷をしてもらえる場合には、これから使用する予定の新しい妊婦帯を持参します。
妊婦帯は一見すると下着にも見えるため、持ち込む時には風呂敷に包んだり、紙袋に入れるなどして持参しましょう。
戌の日に安産祈願を行うための準備の流れ

実際に戌の日に安産祈願を行うためには、次の準備が必要になります。
・安産祈願をお願いする神社やお寺を決める
・安産祈願に参加する人を決める
・神社と参加者が決まったら日程を調節する
・参拝後に食事会を行う予定ならお店を予約する
・岩田帯など安産祈願に必要なものを調べて揃える
これらの準備は、パートナーや両家の祖父母としっかり相談しながら、ひとつずつ決めていくといいでしょう。
戌の日の安産祈願に行く神社・お寺を選ぶ

ご祈祷を受ける神社やお寺は、安産祈願を行っているところであれば、どこでも問題はありません。一般的には、安産祈願で人気の神社にお願いしたいと考えるご家庭が多いようです。
妊婦さんの体調に配慮して、自宅から遠い、常に混雑している、階段が多い、最寄り駅や駐車場から遠いなど、妊婦さんが参拝しにくい神社やお寺は避けることが大切です。
出産後には安産祈願のお守りをお返ししたり、お宮参りに訪れたりすることも考慮して、行きやすい場所にある神社やお寺で安産祈願するのもひとつの方法です。
ご祈祷をお願いするのに事前の予約が必要な神社やお寺もあります。
まずは希望している神社やお寺について事前に調べ、不明な点は直接問い合わせておくといいでしょう。
戌の日の安産祈願に誰と行くかを相談する
昔の安産祈願は家族総出が一般的でしたが、現在は誰と行っても問題はありません。
妊婦さん一人で、妊婦さんとパートナー、夫婦と両家の祖父母など、少人数で行くケースが増えています。
安産祈願で人気の高い神社やお寺などでは、戌の日に参拝客が集中するため、ご祈祷を受けられるのは妊婦さんのみと決められているところもあるようです。
ただ、妊婦さんの体調を考えると、ご祈祷時は一人でも誰か付き添う人が一緒のほうが安心できます。
妊婦さんの体調がよくない場合には代理の方がご祈祷へ行き、お守りなどをいただいてくることもできるので、何より妊婦さんの体調を優先した対応を心がけましょう。
戌の日の安産祈願に行く日程を決める
安産祈願をお願いする神社と同行者が決まったら、下記の戌の日カレンダーを参考にして、参加する人の都合の良い日を選びましょう。
最近では、妊娠5カ月目の最初の戌の日にこだわらず、不安定な妊婦さんの体調が落ち着いてからや、同行するパパや祖父母の都合の良い日にご祈祷をお願いするケースが増えています。
ママの体調を最優先に考え、ご夫婦やご家族で無理のない日程を組むことが大切です。
日程が決まったら、ご祈祷の予約が必要な神社やお寺には早めに連絡を入れましょう。
■2025年下半期 戌の日
7月 | 4日(金)先負 | 16日(水)先負 | 28日(月)先負 |
8月 | 9日(土)先負 | 21日(木)先負 | |
9月 | 2日(火)大安 | 14日(日)大安 | 26日(金)赤口 |
10月 | 8日(水)赤口 | 20日(月)赤口 | |
11月 | 1日(土)友引 | 13日(木)友引 | 25日(火)先負 |
12月 | 7日(日)先負 | 19日(金)先負 | 31日(水)仏滅 |
■2026年 戌の日
1月 | 12(月・祝)仏滅 | 24(土)大安 | |
2月 | 5(木)大安 | 17(火)先勝 | |
3月 | 1(日)先勝 | 13(金)先勝 | 25(水)友引 |
4月 | 6(月)友引 | 18(土)仏滅 | 30(木)仏滅 |
5月 | 12日(火)仏滅 | 24日(日)大安 | |
6月 | 5日(金)大安 | 17日(水)先勝 | 29日(月)先勝 |
7月 | 11(土)先勝 | 23(木)先負 | |
8月 | 4(火)先負 | 16(日)仏滅 | 28(金)仏滅 |
9月 | 9(水)仏滅 | 21(月・祝)赤口 | |
10月 | 3(土)赤口 | 15(木)先勝 | 27(火)先勝 |
11月 | 8(火)先勝 | 20(金)先負 | |
12月 | 2(水)先負 | 14(月)仏滅 | 26(土)仏滅 |
戌の日の安産祈願後に食事会を行うかを決める
昔は安産祈願をしたあとに、お祝い膳をいただく風習がありました。
しかし、妊婦さんが一人で参拝したり、体調が不安定な場合や、パパが忙しい、家族が集まることが難しい場合などには、無理して食事会を開く必要はありません。
もしも食事会を行う場合には、安産祈願に行く神社やお寺に近いお店を選ぶと、スムーズに移動できます。安産祈願で有名な神社やお寺周辺のホテルや料亭、レストランなどでは、お祝い膳のメニューがあるお店も多いようです。
仕出しやケータリングを利用して、自宅でお祝い膳を囲む形でもいいでしょう。
戌の日の安産祈願に持参する物を用意する
下記のものを前日までに準備して、安産祈願当日には忘れずに持参しましょう。
・初穂料(ご祈祷料・お布施)
・賽銭用の現金
・腹帯
・手さげ袋やエコバッグ
・母子健康手帳
初穂料(ご祈祷料・お布施)
のし袋や白い封筒などに入れてお渡しするのが一般的です。神社やお寺によって金額や渡し方が異なるので事前に確認しておきましょう。
賽銭用の現金
最近はキャッシュレス化が進み、現金を持ち歩かない人も増えていますが、賽銭用のお金は持参しましょう。金額はいくらでもOKです。
腹帯
当日持ち込みが必要な場合は風呂敷などに包んで、中味が見えないように持参しましょう。神社やお寺でいただけるなら持参しなくても大丈夫。こちらも事前に確認を。
手さげ袋やエコバッグ
ご祈祷後に腹帯などの授与品をいただく場合には、それらを持ち帰るための大きめの袋が必要になります。
母子健康手帳
体調が悪くなったときのことを考慮して、念のため母子健康手帳も持参しましょう。
あとは、普段から携帯しているスマホや財布、化粧ポーチなどを持参すればOKです。
戌の日の安産祈願にかかる初穂料の相場とは
神社などで祈祷料として納めるお金のことを初穂料と呼びます。
安産祈願の初穂料は5,000円~10,000円が一般的な相場ですが、神社やお寺によっては額が決まっていたり、反対に「お気持ちで」といわれる場合もあります。
さらに、岩田帯を神社やお寺でいただく場合には、相場よりも高くなることも。
初穂料についても、事前に神社やお寺のホームページで確認したり、電話で問い合わせておくと確実です。
戌の日の安産祈願の服装とは
安産祈願に行く場合の服装は、フォーマルな装いを意識しましょう。
同行するパパや祖父母はスーツやワンピース、襟付きのシャツなど、きちんとした印象の服装がおすすめです。
ただし、妊婦さんは身体を締めつけない、着ていて楽なものを選ぶことが大切です。
ゆったりとしたワンピースやマタニティウエアなどを選択するとよいでしょう。足元もハイヒールなどの転びやすいものは避けて、履き慣れた歩きやすいものを選ぶと安心です。
神社やお寺では外で待たされることも。待ち時間が長くなることを想定し、夏の暑さや冬の寒さなど、季節や気温に応じて体温調整しやすい服装にすることも忘れずに。
まとめ
戌の日の安産祈願は、お腹の赤ちゃんが無事に生まれてくることを願う大切な伝統行事です。妊婦さんは体調を整え、ご家族ともよく相談して、無理のない範囲での安産祈願を心がけましょう。
戌の日に安産祈願に行くのは難しいけれど、縁起はかつぎたいという場合には、子だくさんな干支にちなんで安産祈願の吉日といわれる、酉(とり)の日や子(ね=ねずみ)の日にも注目してみるといいでしょう。

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