成人式に振袖を着るのはなぜ?

成人式に振袖を着るのはなぜ?

成人式は一生に一度のイベント、多くの新成人のみなさんは振袖で参加されますが、なぜ成人式では振袖を着るのでしょうか。
それは振袖が未婚女性の第一礼装とされ、晴れの日に相応しい晴れ着だからです。
振袖は未婚の女性ならどなたでも着ることができますが、実際はあまり年齢を重ねてしまうと着るのが難しいのが現状です。

振袖というと特徴的なのが、袖の長さです。なぜあんなに袖が長いのでしょうか。
振袖の種類にもよりますが、振袖の袖の長さはひざ下〜くるぶしくらいまでのものまで長さも様々。
袖丈の長さで細かく分類すると大振袖、中振袖、小振袖の3種類に分けられ、袖丈が長い程格の高い振袖ということになります。
袖丈が長く柄付も華やかな見た目で優雅な振袖ですが、その袖丈の長さは日常動作には向いておりません。
あの長い袖丈には理由があるのです。

魂振り(たまふり)

昔の日本には、「魂振り(たまふり)」という神事がありました。
古代の人々は空中に多くの目に見えない神様がいるとして、空気を揺らすことで、神さまに自分の意思を伝えることができると考えたのです。
昔の人々は空気を揺らす「振る」という動作によって、厄除けや、神様を呼び寄せたり、場を清めていたのです。
神社で鈴を鳴らしたり、柏手を打ったり、神主さんが玉串を振ってお祓いをします、お神輿を揺さぶったりするのも魂振りです。
様々な生活のシーンで使われていますね。
いってらっしゃい、さようならと手を振る仕草も魂振りです。
お見送りの時に手を振ることによって、旅の無事を神に祈る行為だったのです。

告白

神様へ対しての魂振りの儀式もやがて人へと対象が変わっていきます。 袖を振る行為によって、意中の男性に思いを伝える方法の一つとして、長い袖を振る行為があります。 求愛の意思表示の合図として袖を振っていたのです。 相手に袖を振り、袖を振り返してもらえればOKのしるしだったとか。「振った」「振られた」の語源にもなっています。

『万葉集』には、愛する人に向けて袖を振る歌が数多く残っています。

「茜さす 紫野行き 標野行き 野守りは見ずや 君が袖振る」 額田王

((茜色の光に満ちている)紫の野、天智天皇御領地の野で、あぁ、あなたはそんなに袖を振ってらして、野守が見るかもしれませんよ。)

当時は袖を振る行為は恋しい人の魂を自分のほうへ引き寄せるように、おいでおいでと袖を振る恋の仕草のことで、異性への想いを示す行為だったのです。

他にも袖にまつわる言葉でこんな言葉があります。

袖にすがる
袖にとりついて哀れみを請う。助けを求める。
袖にする
親しくしていた人をないがしろにする。
袖を引く
袖を引いて人を誘う。催促する。人の袖を引いてそっと注意する。
無い袖は振れない
実際に無いものはどうしようもないということのたとえ。

良縁

結婚前の若い女性が長い袖の着物、すなわち振袖を着るのは良縁を呼び込む魂振りのためです。
魂振りの仕草は袖を振ることで古来より行われてきましたが、効果を高めるために袖が長くなり、やがて未婚女性の第一礼装として定着します。
長い袖にはこういった良縁、厄除け、神さまのご加護など幸せを願う気持ちが込められており、
今日の結婚式や成人の日などに振袖を着用するのは、人生の門出に身を清め、大人になっていく女性への良縁を願うという意味を持つのです。

こういった理由から一生に一度のイベントの成人式に振袖が選ばれているのです。 成人の日は「大人になったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」日。 新成人の方は誇りを持って、周囲の人は祝福の気持ちを持って、素敵な一日にしたいものです。