刺し子(さしこ)とは?わかりやすく説明
刺し子(さしこ)とは?
刺し子とは、16世紀の初めころに東北地方で生み出された伝統手芸です。
刺し子は、重ねた布を手で細かく刺し縫いにすること。またはそのようにして縫われたものをいいます。
もともとは、衣服の補強や保温のためのものでしたが、豊作・魔よけ・商売繁盛といった人々の願いや祈りを込めた装飾のためにも行われるようになりました。
この技法は丈夫であるため、江戸時代には火消しの消防服に用いられ、現代でも柔道着、剣道着などに使用されています。
時代に合わせて変化してきた刺し子に用いられる布や糸とは?
刺し子が生まれた当初は、麻布に麻糸や木綿糸で刺していましたが、明治20年代には木綿布に木綿糸で刺すのが主流になり、大正末期頃には絣地や模様地の木綿布が普及しました。
このように一口に「刺し子」といっても時代の変化に伴い、用いられる素材も変化してきたそうです。
三大刺し子
手作業で1針1針糸を刺し模様を作り出す「手刺し子」の代表的なものとして、青森県津軽地方の「こぎん刺し」、青森県南部地方の「菱刺し」、山形県の「庄内刺子」があり、日本三大刺子と呼ばれています。
中でも、「こぎん刺し」や「菱刺し」は見事な模様で繊細さが魅力でもあり、晴れの日用の着物としても用いられています。また、古着や地刺しの着物は平常着や仕事着としても用いられてきたそうです。
刺し子織
時代の流れとともに、「刺子織」という機械化によって、刺子の模様が出るように織った綿織物が開発されました。
平織の上に経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の交差の中に、太い刺し子糸をあわせて、ゆっくり時間をかけて丁寧に織られた生地は、高級感のある美しい陰影を作り出します。
経糸に太い刺子糸を加えたものを「経刺し」、緯糸に太糸を加えたものを「緯刺し」といいます。本来の「刺し子」と同様に、作務衣、柔道着、足袋底などに用います。また、風呂敷や座布団などにも用いられます。
刺子紋織物
刺子の美しい伝統的な幾何学模様は、現代でも人気があり、着物や帯に使用されています。
刺子の模様をそのまま生かした紋織物は、比較的低コストでかつ、軽量に仕上げることができます。
刺子紋織物は、見た目は通常の刺子と同じようですが、生地裏には色を刺した後に出てくる走り糸がないため、織で模様を構成していることがわかります。
様々な柄が楽しめる刺し子 その種類は?
刺し子に用いられる柄は伝統的な模様だけあげても40種類はあるそうです。それぞれに名前が付けられているそうで、柄によって印象も様々です。例えば以下のような名前の柄があります。
・七宝つなぎ
・麻の葉
・紗綾形(さやがた)
・毘沙門亀甲(びしゃもんきっこう)
・柿の花
・籠目(かごめ)
・枡刺し(ますざし)
・花刺し
・段つなぎ
一面に刺し子を施した 花ふきんとは
花ふきんとは、一面に刺し子が施された布巾のことです。台所や茶道具の上に被せる飾りふきんとして使用されることも多いですが、もともとは さらしです。吸水性が良く、ご飯や蒸し料理の湯気とりや茶碗拭きなどとして用いられてきました。
~花ふきんの仕立て方・刺し方~
【材料と道具】
◎さらし
◎刺し子糸と針
・刺し子糸
・手縫い糸
・刺し子糸
・まち針
◎チャコペンと定規
◎はさみとアイロン
・糸切りばさみ
・裁ちばさみ
- 布の裁断
花ふきんは2枚重ねて縫うため、1辺の2倍強くらいの長さを目安に布を裁断します。
- 下地をつくる
裁断した布の端から5mmのところに裁ち目にそってチャコペンと定規で線を引きます。
次に布を半分に折り、まち針で留めます。線を引いたところに沿って、手縫い糸で並縫いします。布を裏返して片面ずつ、両面にアイロンをかけます。
- 下書きをする
チャコペンを使って好きな柄を下書きします。
- 刺し子をする
下書きの図案に沿って刺し子をしていきます。
- 仕上げ
最後に低温でアイロンを掛けて完成です。
自分でつくった花ふきんも趣があって良いものですよ。
まとめ
いかがでしたか?ひと刺しひと刺し縫い進めていく「刺し子」はものすごく大変な作業である分、上質で他にない質感や魅力が詰まった歴史ある手芸のひとつです。機会があればぜひ手にとってみて下さいね。
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