夏の着物は浴衣に注目!藤井絞のオリジナル浴衣が人気を集める理由とは
夏の着物としての浴衣に注目が集まっています。
夏の着物といっても浴衣はカジュアルシーンでしか着られないのでは?と思っている方も多いと思いますが、実はここ数年、浴衣を着物風にドレスアップする着こなしをする方が増えています。
そんなエレガントな装いにもふさわしいと、人気を集めているのが藤井絞のオリジナル浴衣です。そこで今回は藤井絞の代表取締役社長の藤井浩一さんに、オリジナル浴衣へのこだわりをお伺いしました。
オリジナルの浴衣が人気の藤井絞とは
いまでは毎年、注目の的となる藤井絞のオリジナル浴衣。
そのため、藤井絞は高級浴衣のブランドだと思っている方も多いかもしれませんが、創業100年を超える老舗であり、伝統工芸品である「京鹿の子絞」を扱う呉服製造卸の会社です。
浴衣に力を入れるようになったのは、藤井絞四代目であり代表取締役社長の藤井浩一さんが有松・鳴海絞りのメーカーから絞りの浴衣を仕入れて呉服店に卸していた時、「雪花絞(せっかしぼり)」と出会ったことが始まりでした。
藤井絞のヒット作「雪花絞(せっかしぼり)」の浴衣とは
「雪花絞(せっかしぼり)」とは板締め絞の一種で、もともとは愛知県の有松・鳴海に伝わる伝統技術です。染め上がった柄が雪の結晶のように見えることから、「雪花絞」と呼ばれています。
「雪花絞」は一反分の白生地をアイロンをかけながら蛇腹状に折りたたみ、さらに三角にたたんで木製の型にはめ込み、生地の端を染料につけて染めていきます。
生地のたたみ方、染料の浸透具合によって染め上りの表情は多彩に変わり、同じように染めたとしても2度と同じものを作ることはできません。
丁寧な手作業と偶然が生み出す「雪花絞」の美しさと、有松で唯一という「雪花絞」の職人さんの技術に魅せられた藤井さんは、「この浴衣は売れる」と確信。
職人さんに頼み込んで藤井絞オリジナルの綿麻の生地に「雪花絞」を染めてもらいますが、呉服店では「こんなおしめ(オムツ)の柄は店頭に飾れない」といわれてしまい、最初の頃は苦戦を強いられたといいます。
もともと実用品に使用されていた板締め絞りは、大正時代には寝巻(浴衣)の生地に使われていて、着古したあとはそれを解いて赤ちゃんのおしめにリメイクしていました。そのため、年配の人の中には板締め絞り=おしめの柄とイメージする方も多かったようです。
しかし、藤井絞オリジナルの「雪花絞」の浴衣が2007年に着物雑誌の表紙に取り上げられたことで状況は一変。2009年には金麦のテレビCМで檀れいさんが着用したことから爆発的なヒットに。
藤井絞の「雪花絞」の浴衣はも、夏の装いに欠かせない存在となりました。
藤井絞の浴衣がいまも注目を集める理由とは
藤井絞の浴衣が人気の理由は、「雪花絞」が作り出す唯一無二の色や柄だけでなく、「着やすい」「涼しい」「手入れがしやすい」という機能性にすぐれていることも見逃せません。
その1 着心地の良さを重視した綿麻の浴衣
浴衣といえば吸湿性の高い綿、とくに綿コーマという素材が主流ですが、藤井絞のオリジナル浴衣は綿麻、綿麻紅梅、備長炭入り綿麻のいずれかを使用しているのが大きな特徴です。
「綿コーマの浴衣は暑いし、張りつくから好きではなくて。これは麻を入れた生地にしたほうが涼しいだろう」と感じた藤井さんが、生地屋さんにお願いして独自の生地を開発。
その結果、現在の藤井絞の浴衣に使用されている、三種類の生地が誕生しました。
サラッとした肌ざわりの綿麻紅梅
藤井絞オリジナルの綿麻紅梅は、透け感があり肌ざわりがサラッとして、着心地の良さも抜群です。
紅梅生地とは、異なる2種類の太さの糸を組み合わせて、市松柄のような凸凹のある格子状に織り上げたものをいいます。
この凸凹のおかげで、肌に触れる面積が平織よりも少なくなるため、サラッとした涼しい着心地感になります。
綿と麻のいいとこ取りした綿麻
暑いけれどシワになりにくい綿と、涼しいけれどシワになりやすい麻を5対5の割合で生地にしている綿麻素材。
吸湿性にすぐれているのにシワになりにくく、麻のシャリ感もあり、自宅で洗濯できるという良さを持っています。
さらに、縮み加工が施してあるのもポイント。
染めた後に凹凸をつけているため、熱がこもらず涼しい、肌に張りつかず、摩擦が少ないので歩きやすいのも魅力。
消臭効果のある備長炭入りの綿麻
藤井絞の他の綿麻浴衣よりも厚みがあることから、盛夏だけでなく、5月の春単衣、9月の秋単衣の時期に着用される方が増えているという備長炭入りの綿麻浴衣。
綿70%、麻25%に、備長炭入りのレーヨンはわずか5%なのですが、「雪花絞は白青のコントラストが美しいけど、備長炭が入るとコントラストや彩度がにごるため、備長炭入りの綿麻浴衣は売れないだろう」と思っていたという藤井さん。
予想に反して、シックな色合いの雪花絞は大人の女性や着物好きな男性の間で人気に。
幅44cmという通常(幅約38cm)よりも広幅の反物もあることから、体格の良い男性の浴衣としても着用できるとあって、男女問わず幅広い層から人気を集めることに。
そしてもうひとつ、備長炭に防臭効果があることから、匂いが気になる夏の装いに最適なことも大きな要因となりました。
その2 自社工房で職人が作り出すバリエ豊かな色と柄
最初のうちこそ有松の職人さんにお願いしていた浴衣ですが、雪花絞が大ヒットしたことから、京都の自社工房で職人さんたちが作り上げるスタイルに。
「京都の職人さんならではのオリジナリティや、既存の技術を超えたいというこだわりが強く、その競い合いが新しい色や柄を生み出しています。そのおかげで、柄色が何十倍にも広がり、毎年、新しい浴衣が誕生しています」と藤井さん。
また、着物ではなかなか冒険できない方も、「夏やったら着ちゃう、浴衣やったら着ちゃう」という方が多いため、浴衣なら普段は着たことのない色や柄にチャレンジしやすいともいいます。
そのため、年々、色柄のバリエーションが増えていく藤井絞の浴衣は、毎年、多くの方々に注目されて続けているのです。
その3 上質だからこそ長年愛用できるコスパの良さ
藤井絞のオリジナル浴衣は前述した通り、素材や色柄にこだわっているため、最初こそ費用がかかりますが、夏の普段着、例えば麻の着物を購入することを考えれば、決して高い買い物ではありません。
浴衣といえば、お祭りや花火大会に着て行くカジュアルな着物と思っている方も多いかもしれませんが、藤井絞の浴衣なら着こなし方次第で、友人とのランチ会やショッピング、美術館めぐりなどにも着られるため、夏のおしゃれの幅を広げてくれるアイテムとして、ワンシーズンに何度も着用することができます。
また、綿と麻という丈夫な素材でできているため、「二度も洗い張りをしたけど、そのたびに新品同様になる」と、仕立て直しては縮み加工を施して、長年愛用されているお客様も。
毎年、イベントのために浴衣を新調するのも楽しいですが、幅広い場面で着用できて、長く愛用できる上質な浴衣を選んだほうが、コスパはよいといえるのではないでしょうか。
藤井絞の浴衣は着こなし次第でエレガントな夏の装いに
最近は浴衣を着物風に着こなす、おしゃれな方が増えています。
例えば、浴衣の衿元に半衿、博多紗献上や麻の八寸名古屋帯を締め三部紐と帯留で飾り、足元は足袋に草履を合わせれば、浴衣でもドレスアップした装いになります。
しかし、この着こなしは、どの浴衣でも出来るというわけではありません。
綿100%の平織の浴衣の場合、無理にドレスアップするよりも、やはり一枚でカジュアルに着こなすほうがステキに見えます。
藤井絞の綿麻、綿麻紅梅のような、透け感がある薄手で軽やかな印象の浴衣なら、エレガントな夏の装いにも最適です。
もちろん、夏祭りや盆踊り、花火大会などのイベントなら、兵児帯で可愛く、半幅帯で粋に装うなど、藤井絞の浴衣ならカジュアルにも着こなすことができます。
藤井絞の浴衣がレンタルで体験可能に
藤井絞のような高級浴衣を着てみたいけれど、いきなり購入するのはハードルが高いという方や、すでに浴衣はいくつか持っているけれど、今年は違う浴衣を着てみたいという方のために、きものレンタリエでは浴衣のレンタルも開始しました。
着物に馴染みのない方でも、浴衣なら気軽に楽しむことができるのでは。
また、気になる高級浴衣を実際に着てみることで、手持ちの浴衣とその着心地の良さや機能性の高さなどを比べてみるのも面白いかも。
もちろん藤井絞の浴衣もレンタルできるので、ぜひ、この機会にその着心地を体感してみてはいかがでしょうか。
浴衣|藤井絞 雪花six|Y0005|L / レンタル価格19,800円(税込/往復送料込)
まとめ
浴衣は夏のカジュアル着から、夏のお出かけにも使えるエレガントな装いとしても注目を集めています。
今回紹介した藤井絞のように、着心地や涼しさ、お手入のしやすさも追及した素材に、職人さんが手作業で丁寧に染めていく絞りの浴衣は、まさに、どちらにも着用できる浴衣といえるでしょう。
Tシャツ代わりに着こなすカジュアルな浴衣も楽しむ一方で、夏に着物でおしゃれをしたいときには、藤井絞のオリジナル浴衣のような高級浴衣に注目してみることをオススメします。