浴衣を着物風に着るには?知っておきたい時期や場所、着こなしのポイント
浴衣を着物風に着ることで、浴衣を着る時期や着る場所が広がると注目を集めています。
実際に浴衣を着物風に着るには、衿元、帯まわり、足元を変えることが必要となり、カジュアルな着こなしのときとは必要なものなども異なります。
そこで、浴衣を着物風に着るための浴衣の選び方や、着こなしのポイントを紹介します。
浴衣を着物風に着こなすのが人気の理由
浴衣といえば夏のイベントに欠かせないカジュアルな装いですが、最近は浴衣を着物風に着こなす方が増えています。
浴衣で出かけられる場所が増える
その理由の一つに、浴衣を着物風に着こなすことで浴衣を着て行く場所が広がることが挙げられます。
浴衣といえば花火大会やお祭りなど、夏の夜のイベントで着ることがほとんどのため、そのままの着こなしでは昼間の外出には着て行きにくいという声も多く、なかなか着る機会が広がりませんでした。
しかし、浴衣を着物風に着るだけで友人とのレストランランチやアフタヌーンティー、観劇、美術館や水族館、ショッピングなどのお出かけにも気軽に着用することができます。
浴衣で行ける場所やイベント | 浴衣の着物風で行ける場所やイベント |
花火大会 | レストラン |
お祭り | アフタヌーンティー |
ビアホール | 観劇 |
納涼船 | 美術館 |
音楽ライブ | 水族館 |
浴衣を長い期間着ることが出来る
二つ目に、浴衣を着用できる時期が長くなります。
浴衣はもともと汗ばむ時期に着用する着物。
そのため暑くなり始めたら着用してもかまわないのですが、実際には夏のイベントが集中している盛夏の7月~8月に着る方がほとんどでしょう。
最近は暑くなるのが早く、8月を過ぎても真夏日が続くとはいえ、イベントのない6月や9月に浴衣を街中で着るのはカジュアル過ぎて抵抗がある方も多いのでは。
しかし、浴衣を着物風に着ることで抵抗なく街中に着て行くことが出来るうえ、単衣の着物の時期である5月下旬から6月、9月から10月初旬などの時期にも浴衣を着用することが可能になります。
そのため、浴衣は花火大会のときにしか着ていなかったという人も、ワンシーズンに何度も着ることができるようになります。
着物にチャレンジする入り口になる
人気の理由三つ目として、着物には興味があるけれどハードルが高いと感じている方でも、浴衣なら気軽にチャレンジできるという点です。
浴衣なら着物よりも安価で揃えられますし、着物風に着こなすといっても、浴衣はカジュアルな普段着ですから、着物よりも自由に楽しむこともできます。
着物風に着こなすための浴衣の選び方
浴衣を着物風に着こなす上でもっとも大切なのが、着物風に着てもしっくりくるタイプの浴衣かどうかという点です。
綿麻紅梅や綿絽など生地に注目
そこで、注目してほしいのが浴衣の生地です。
浴衣といえば木綿の生地が一般的ですが、木綿はカジュアルに着られるのが魅力。そのため、色柄によっては着物風に着ると浮いてしまう可能性も考えられます。
それならば、綿のやわらかさと麻のシャリ感が心地よい綿麻や、吸水性や速乾性などの機能的にも進化しているうえ、見た目にもしなやかで発色のよいポリエステルの浴衣のほうが、着物風にコーディネートしやすいのではないでしょうか。
また、生地の織り方にも種類があり、浴衣が肌に張りつかず、さらりとした着心地を体感できる紅梅、とくに高級浴衣として知られている綿麻紅梅、絹紅梅は着物として着るのに十分な風格があります。
細かい穴が縞状に入っているため軽やかで涼しい綿絽の浴衣は、透け感があるので着用するときには浴衣用のインナーが必要です。それを利用して、あえておしゃれな長襦袢を着用し、一緒に半衿、足袋などを身に着けるだけで、着物風に着用することができます。
華やかさを抑えた古典柄や絞りで品よく
浴衣は鮮やかでカラフルな色遣いのものも多いのですが、着物風に着るのであれば、地色は華やかさを抑えた落ち着いた色目で、色数も少ないほうが品よく見えてオススメです。
例えば、6月に浴衣を着用するのなら、やわらかいクリーム色や爽やかな水色で初夏の明るさを、9月に浴衣を着用するなら、秋らしい少し暗めでスモーキーな地色のものを選ぶと季節感を演出できます。
浴衣の柄は大柄なものは避け、古典柄やレトロモダン、有松絞り、小紋柄なら、着物風に着こなすのにオススメです。
浴衣を着物風に着こなすためのポイント
では、実際に浴衣を着物風に着こなすためには、どうすればよいのでしょうか。
衿元、帯まわり、足元が大きなポイントになります。
肌着には半衿付きの肌襦袢を
着物風にするためには半衿が必要になります。着物の場合、長襦袢に半衿を縫いつけて使用しますが、浴衣の下に長襦袢は着ないため、半衿をつける衿のある肌襦袢が必要になります。
衿付きの襦袢が難しい場合には、美容衿(うそつき衿)という長襦袢の衿部分だけを身に着けられるアイテムがあり、これなら浴衣用スリップにも利用できます。
衿芯を入れて衿元をすっきり見せる
浴衣の衿に衿芯を入れることで衿元がよれたり、へたれたりすることなく、きれいに整います。シワのないきれいな衿と半衿の相乗効果で、着物のときのきちんとした感じを衿まわりに出すことができます。
名古屋帯でワンランク上の着こなしに
浴衣を着物風に着こなすのなら半幅帯を結ぶか、思い切って名古屋帯などを合わせると、着物らしい着こなしになります。
兵児帯は可愛いのですが、どうしてもカジュアルに見えがちなので着物風のときには避けたほうが無難です。
飾りひもではなく帯締めと帯留で本格的に
浴衣の帯にワンポイントとして飾り紐をつける方が増えてきましたが、これを帯締めと帯留に替えることで、着物のような本格的な着こなしになります。
名古屋帯を結ぶ場合には、着物と同じように帯揚げも利用しましょう。
足元は下駄やサンダルから草履へ変更を
浴衣を街着として着こなす場合には、下駄ではなく草履にすることも大きなポイント。草履を履くだけで、カジュアルからフェミニンな装いへと雰囲気が変わります。
サンダルやスニーカーはNGです。
草履に足袋を履くだけで着物風に
足元が草履のときには足袋を履きましょう。これだけでも着物風の着こなしに見えます。足袋は浴衣の雰囲気に合わせて、レース素材や色足袋などでもかまいませんが、白足袋にするとより着物らしい雰囲気になります。
浴衣を着物風に着こなす場合の注意点
浴衣を着物風に着こなすことで、着られる時期と場所が広がるのは確かですが、浴衣は基本、夏に着るカジュアルな普段着です。
残暑が続く最近なら、単衣の着物を着る10月初旬くらいまでは大丈夫ですが、袷の着物の時期になっても浴衣を着ていては、さすがに浮いてしまいます。
行ける場所についても、街中のレストランに入店できたから格式の高いホテルのレストランやパーティー会場にも入れるかといえば、一概にそうとは言えません。そのお店のドレスコード次第になるため、入店できない可能性もあります。
友人から誘われたけれど、格式が高そう、フォーマルな装いでないと無理そうと感じているなら浴衣はやめておくか、事前にお店に確認を取るといいでしょう。
また、浴衣を結婚式などに着て行くのもNG。アットホームな結婚式だとしても、フォーマルな場にはフォーマルにふさわしい訪問着や付け下げなどの着物を着ることが大切です。
浴衣を着物風に来たからといって、いつまでも着られるわけではありませんし、どこにでも行けるわけではありませんので、その点には注意が必要です。
マナー違反にならない程度に浴衣を楽しみましょう。
まとめ
浴衣を着物風に着ることで、真夏のイベント用のカジュアル着から、昼間も街中で着られるおしゃれ着として楽しむことができるようになります。
せっかく浴衣を購入したのに、今年は一度しか着られなかったという方は、ぜひ、浴衣を着物風に着こなして、お友だちとの食事やショッピングなどを楽しんでみてはいかがでしょうか。