訪問着に伊達衿はどう合わせる?基本コーデと結婚式や式典などでの実際の選び方
訪問着は伊達衿を合わせることで、より礼装らしい格式高い装いとなります。しかし、訪問着にふさわしい伊達衿がわからないという方は案外多いよう。伊達衿はフォーマルシーンで身に着けるものといわれても、ゲストとして出席する結婚式とお子さんの入学式では、同じ訪問着でも合わせる伊達衿が異なるため、悩んでしまうことになりがちです。
そこで今回は、訪問着にふさわしい伊達衿の選び方を紹介します。

訪問着には伊達衿をどう合わせるかが大切

伊達衿は礼装用の着物、主にお祝い事の装いに使用される装飾用のアイテムですが、訪問着の場合、必ず伊達衿をつけなければいけないというわけではありません。
しかし、訪問着に伊達衿を合わせることで、見た目の華やかさや高級感をアップすることができるため、礼装らしさをより演出することができます。
例えば、結婚式などのおめでたい席に出席する場合や、フォーマルな装いにしては少し華やかさが足りないと感じる場合に役立つ装飾アイテムと考えられています。
つまり、訪問着には伊達衿はつけてもつけなくても問題はないため、伊達衿のある・なしや、どのフォーマルシーンでどんな伊達衿をつけるかは、訪問着を着る人次第。
自由に伊達衿を選べる代わりに、「訪問着にどんな伊達衿を合わせたか」で、訪問着を着る人のマナーやセンスを問われることになるため、訪問着に伊達衿をどう合わせるかは、訪問着を着用するうえで大切なポイントとなります。
伊達衿とはどんなもの?

伊達衿は「重ね衿」とも呼ばれ、着物を二枚重ねて着ているかのように見せるための衿のことをいいます。
長さは約1.2m、幅は約11cmのものが主流です。
大正時代以前の日本では、礼装には二枚以上の着物を重ねて着るという風習がありました。しかし着物を重ね着するのは大変なため、やがて着物を二枚重ねて着ているように見せるための伊達衿が使用されるようになりました。
伊達衿には「喜びを重ねる」という縁起の良い意味があるため、お祝い事の際に礼装として着用する振袖や訪問着などに使用されるのが一般的です。
また、格調高く華やかな装いを演出するためのアクセントとしても用いられています。
伊達衿と半衿の違いとは?

着物姿の衿元を彩るアイテムには「伊達衿(重ね衿)」の他に「半衿」があります。
伊達衿と半衿の大きな違いは、装飾用アイテムのため着物に合わせるかどうかを自由に選べる伊達衿に対して、半衿は着物を着るうえでの必須のアイテムだということ。
長襦袢につけて使用する半衿は着物姿には欠かせない存在であり、汗やメイクで衿が汚れるのを防ぐ、衿芯を通して衿元をしっかりと固定し、着付けを美しく仕上げるなどの役割があります。
さらに顔映りをよくする効果もあり、白や淡い色の半衿や、白地に白糸や金銀糸で刺繍が施されている半衿はフォーマルシーンにもふさわしく、明るくて上品な印象を与えてくれます。
濃い色付きの半衿や華やかな色柄の刺繍半衿なら、着物や帯との色合わせを楽しんだり、個性的なコーディネートをしたい場合に役立ちます。
| 伊達衿 | 半衿 | |
|---|---|---|
| 主な用途 | 装飾 | 汚れ防止・衿元を整える |
| 着付け方 | 着物の衿に留めて着物と半衿の間からのぞかせる | 長襦袢に直接縫いつけて使用する |
| 着物の種類 | 主にお祝い事で着用する 礼装用の着物 | どんな着物にも必要 (浴衣は除く) |
伊達衿にも種類がある?
最近の伊達衿(重ね衿)にはさまざまな色や柄、デザインのものが登場しています。
いくつか例を紹介するので、伊達衿を選ぶ際の参考にしてみてはいかがでしょうか。
シンプルな単色タイプ
単色で無地の伊達衿はどんな色柄の着物にも合わせやすく、シンプルさゆえに控えめなアクセントになるため、フォーマルシーンでは重宝されやすいという特徴があります。
最近は色展開も多いため差し色としても使いやすく、着物初心者でも気軽に使用することができるでしょう。着物上級者の方なら伊達衿の素材や質感を楽しめるタイプともいえそうです。
複数色タイプ
複数色タイプの代表といえるのがリバーシブルの伊達衿です。
裏と表で雰囲気を変えられるため、一枚あるとコーディネートの幅が広がります。
グラデーションになっているものなら優雅な印象に。
金銀と組み合わせたデザインの伊達衿なら、古典柄の着物と合わせると格調高くゴージャスな雰囲気を演出してくれます。
ラメ入りタイプ
ラメ入りの伊達衿は派手すぎず、華やぎと特別感をプラスすることができます。
上品な印象にしたい場合には、淡い地色に細かいラメ入りの伊達衿で衿元に少し輝きを取り入れる感じがオススメです。華やかに見せたいのであれば大きなラメが入っているものを選ぶとよいでしょう。
レース・フリル付きタイプ
伊達衿に繊細なレースがあしらわれているタイプなら、エレガントな印象の重ね衿になります。シンプルな着物に「ちょっとだけでいいから個性を出したい」「さりげなく遊び心のあるコーデにしたい」といった場合に役立ちます。一方、フリルやレースがたっぷりの洋風デザインの場合には、ガーリーやレトロモダンな着物スタイルを盛り上げてくれます。
パール・ラインストーン付きタイプ
パールやラインストーンが付いた伊達衿は、気品あるゴージャス感を求める方に人気。写真映えもするため、ワントーンコーデやくすみカラーなどシンプルな振袖を個性的に演出してくれるアクセントにもなります。成人式や卒業式に着る振袖などを華やかにしたい場合にピッタリです。
つまみ細工付きタイプ
最近人気なのが、布を小さく折って梅や桜、椿などの花の形にしたつまみ細工が付いている伊達衿です。成人式の振袖や卒業式の着物に可愛らしさをプラスすることができるため、若い方に人気を集めています。
伊達衿を合わせてもよい着物の種類
伊達衿(重ね衿)は礼装用の着物に使用するのが一般的です。振袖や訪問着、付け下げ、色無地などに合わせることができます。留袖には比翼があるため伊達衿は不要とされていますが、比翼仕立てではない色留袖には比翼代わりに白の伊達衿を使用することができます。
セミフォーマルとして着る一つ紋の色留袖であれば、白だけでなく淡い色の伊達衿を合わせてもいいでしょう。また、最近の伊達衿は装飾アイテムとしてさまざまなデザインが増えたため、小紋などのカジュアル用の着物を個性的に着こなすためのアイテムとして使用するケースもあります。
ただし、前述したように伊達衿には「重なる」という意味があるため、喪服や法事に着用する色無地などには絶対にNGですので注意しましょう。
訪問着に合わせる伊達衿の基本的な選び方
礼装に合わせる伊達衿(重ね衿)は控えめな色合いのほうが、格式高く優雅な印象になります。
また、次の点を意識すると美しく見せることができます。
訪問着の地色と同系色を選ぶ
最近は振袖だけてなく訪問着でも、ワントーンや同系色グラデーションなどのコーディネートが増えてきました。訪問着の伊達衿も着物の地色と同系色を選ぶことで、上品な印象になるうえ、トレンド感も取り入れることができます。
ただし、衿元のアクセントでもある伊達衿が着物の地色とまったく同じ色では、ぼやけた印象になりがちです。
例えば、薄い地色の訪問着なら同系色の中から少し締まる色を、濃い地色の訪問着なら少し明るい色の伊達衿を合わせると、まとまりのある自然なコーディネートになります。
訪問着の柄に入っている色から選ぶ
訪問着の柄に使われている色から一色をとり、その色の伊達衿を選ぶことで、コーディネートに統一感を出すことができます。 訪問着の地色ではなく柄に使われている印象的な一色を使用するのがポイント。バランスの良い差し色となり、全体がすっきりとまとまります 。
帯揚げ・帯締めと色を揃える
また、伊達衿の色を帯揚げ・帯締めの色と揃えると、メリハリの利いたアクセントとなり、グッとおしゃれな装いになります。
金や銀がさりげなく入ったものを選ぶ
フォーマルシーンで訪問着を着る場合、控えめで上品な伊達衿を合わせることが大切ですが、もう少しだけ華やかさが欲しい。そんな場合には、金や銀の縁取りが入った伊達衿を選べば、控えめな中にも格調高い雰囲気を演出できます。
また、袋帯の柄に金銀が入っているなら、淡い金や白金系の伊達衿を選んでもいいでしょう。
訪問着に合わせる伊達衿の行事別の選び方
訪問着にどう伊達衿(重ね衿)を合わせるのか、基本的なことがわかったところで、今度は訪問着を着て参加する行事別に、具体的な伊達衿の選び方を紹介します。
子どもの入学式や卒業式の場合
入園式・入学式、卒園式・卒業式のようなお子さんが主役の式典に出席する場合には、控えめな美しさと落ち着いた雰囲気を演出できる伊達衿を選びましょう。
光沢を抑えた淡い色や、上品な金銀系のシンプルな伊達衿を選ぶとすっきりとした印象になります。
また、伊達衿は必ずつけなければいけないものではありませんから、できるだけ控えめな装いにしたいという場合には、伊達衿をつけないという選択をしてもよいでしょう。
結婚式や披露宴のゲストとして
結婚式や披露宴のような華やかでおめでたい席にゲストとして出席する場合にも、光沢が強すぎない無地や淡いぼかし、控えめな地紋入りの伊達衿がいいでしょう。
格式の高い結婚式のため多少は豪華さもプラスしたいという場合には、金銀糸の刺繍や金彩が控えめに入った伊達衿がオススメです。
盛大なパーティーや祝賀会なら
盛大なパーティーや祝賀会の場合には華やかな装いが歓迎されるため、やや明るい色や金銀が控えめに入った伊達衿を合わせるといいでしょう。
上品に輝く繊細なラメ入りの伊達衿でも問題はありませんが、衿元だけが派手過ぎたり、伊達衿が浮いてしまわないように、バランスを見て使用しましょう。
友人との会食や観劇など
ホテルのレストランや劇場などでは結婚式や祝賀会とは異なり、華やかさよりも落ち着いた印象になるような伊達衿選びを心がけて。
訪問着の柄の一色をとってその色の伊達衿を合わせる場合にも、着こなしのスパイスになるような派手な色よりも、薄い桜色や水色、若草色、淡い藤色、クリーム色や淡い金色など、やさしい色合いの無地の伊達衿がオススメです。
訪問着には避けたい伊達衿とは?

伊達衿(重ね衿)は着物姿にアクセントを付けるための装飾小物ですが、訪問着の場合は派手に見せるよりも、上品な色合いをさりげなく見せる程度に使用したほうが美しく見えます。
成人式の振袖に付けるような派手な原色や多色、パールやラインストーン、大胆なラメ入り、愛らしいつまみ細工付きなどを選んでしまうと、衿元だけが浮いて見える可能性があります。カジュアル感の強いレースや大きな柄入りの伊達衿も礼装用としては不向きです。
また、着物や帯、帯揚げや帯締めに使われていない濃い色の伊達衿を訪問着に使用すると、伊達衿だけが浮いてしまう可能性があるので避けたほうが無難かもしれません。
専用の衿留ピンで出来る伊達衿の付け方とは?
伊達衿は着物の衿に縫い付けて固定する方法のほかに、専用の衿留ピンなどを用いて数か所を留める方法があります。
伊達衿専用の衿留ピンで留める場合には、着物を着用する前に着物の衿の中心(背中心)と伊達衿の中心を合わせて、着物の衿から伊達衿が5mm程度見えるようにズラして位置を調整します。
さらに、衿留ピンで衿の真ん中とそこから左右約10㎝部分の3箇所をしっかりと留めます。
着付けのときに位置がずれてしまうと衿元の重なりや見える幅が均一ではなくなってしまうため、伊達衿を中心部分に正確に固定することがポイントです。
美しい衿元を保つためには、着用中に伊達衿が動いてしまわないように丁寧に着付けることも大切になります。
伊達衿用の衿留ピンは、購入した伊達衿についている場合やネットショップでも手軽に購入できます。
ヘアピンでも代用はできますが、着物や伊達衿を傷めないためには専用の衿留ピンの使用をオススメします。
まとめ
訪問着を格調高く着こなしたいときに、伊達衿はステキなアクセントになってくれます。
ただし、同じ着物であっても合わせる伊達衿の色や素材が変わるだけで、コーディネートの雰囲気を大きく変えるアイテムでもあるため、伊達衿をどう選ぶかが大切になります。
訪問着にふさわしい伊達衿の合わせ方をしっかりと覚えることで、訪問着をより礼装らしい格調高い装いにすることができますから、皆さんもぜひ参考にしてみてくださいね。
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