裏地がある着物 ない着物の違いとは?生地の素材も?わかりやすく説明
裏地とは?
裏地とは、衣類の表生地と縫い合わせられる、裏側の生地のことです。着物で裏地があるものを袷(あわせ)といい、ないものを単衣(ひとえ)と言います。
袷の着物は1年のうち、10月頃から5月頃までに着用されるのに対し、単衣は夏の時期のみ着用されます。
裏地のある袷(あわせ)の着物
冒頭でもお伝えしましたが、裏地が付いている着物を袷と言います。着物の裏地には次のような役割があります。
・表地を守る
・歩行の際の裾(すそ)さばきを良くする
裏地は、着用シーンによってルールがあります。
◇カジュアルシーン: “見せる裏地”と“見せない裏地”
・“見せる裏地=八掛(裾回し)”
袖口や裾などの見える部分の裏に付ける裏地を八掛または裾回しと呼びます。
八掛が付くことによって、裾さばきがよくなるうえ 表地も傷みにくくなります。
・“見せない裏地=胴裏”
胴の部分に使われる裏地は、着用時には見えません。基本的に白色ですがピンク色が用いられることもあります。丈夫で滑りが良い素材の生地を用いることで、着物の脱着を容易にしてくれます。
◇フォーマルシーン
この場合、見せる裏地である八掛の部分は表地と同じ生地で作られます。これを「共八掛」と呼びます。
共八掛で仕立てられる着物は、第一礼装である留袖や色留袖のほか準礼装の訪問着も同様です。
裏地のない単衣(ひとえ)の着物
裏地の付いていない単衣の着物は、6月から9月頃までの季節の変わり目に着用されます。裏地が無い分、涼しく着用できます。
裏地に使われる生地の素材
・絹
・羽二重(はぶたえ)
・白絹(しろぎぬ)
・紅絹(もみ)
・綿
・晒木綿(さらしもめん)
・新モス
・カナキン
・天竺木綿(てんじくもめん)
・ポリエステル
それぞれの素材について特徴をお話ししていきます。
・絹
肌触りがよく着物の着崩れを防ぐ効果もあるのが絹素材の裏地です。高価ではありますが、他にない着心地の良さが魅力です。
・羽二重(はぶたえ)
高級絹織物のひとつである羽二重は、特殊な織り方で織り上げた後、漂白をして白生地に仕立てますが、用途によっては染めて利用することもあります。光沢感や肌触りの良さが特徴で、留袖などの礼装や正絹着物の胴裏として合わせることは多いです。
・白絹(しろぎぬ)
埼玉県小川町で生産されている白絹は、染めずに白地なのが特徴です。小川絹にしかない重厚感や上品さが魅力です。
・紅絹(もみ)
真っ赤に染められた無地の絹織物で、昔は女性用の肌着や着物の裏地として頻繁に使用されましたが、現代では特別な式服の裏地などに限定的に使用されています。
・綿
現代でも最もポピュラーで馴染みのある素材の綿は、男性用の着物やカジュアルな着物の裏地として用いられることが多いです。パリッとした張りのある質感が特徴です。
・晒木綿(さらしもめん)
綿織物を漂白した晒木綿は、吸水性に優れており速乾性にも長けています。柔らかな素材でもあることから、襦袢など肌に直接触れるアイテムや赤ちゃんの産着などにも用いられています。
・新モス
毛織物の一種である新モスリン(新モス)は、温かく柔らかい肌触りが特徴です。普段着の和服や冬物の襦袢、着物の裏地はもちろんパジャマの裏地など、幅広い用途で使用されています。
・カナキン
目が細かく薄手のカナキンは、着物の裏地以外にも、シャツやシーツなど普段の生活に馴染みのあるアイテムにもよく用いられています。
・天竺木綿(てんじくもめん)
カナキン同様に目が細く丈夫な天竺木綿は、衣服の裏地の他にも、敷布や風呂敷、小麦粉を入れる袋としても使用されることがあります。
・ポリエステル
耐久性に優れ速乾性も高いポリエステルは、洗える着物の裏地として使用されます。静電気が起こりやすいデメリットもありますが、雨などの湿度が高い日などには扱いやすくて便利な素材です。
まとめ
着物の裏地にも、着用シーンに合ったルールがあります。
着物を正しく美しく着こなすために、裏地のことも覚えておくと良いでしょう。
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