着物でのマナーと立ち居振る舞いのポイントとは

特集#着物レンタル

グレーの訪問着を着た女性

着物のマナーにはTPOに合った装いだけでなく、美しい立ち居振る舞いも含まれます。そのため着物のマナーを守ることが、自然と着物美人にもつながります。

実際に着物での立ち居振る舞いがスムーズにできるようになると、着崩れを防ぐことにもなるため、この機会にしっかり覚えて身に着けておくことをオススメします。

着物を着用するときのマナー

着物を着て外出する場合、着物の選び方や着こなしにもマナーがあります。

TPOに合わせた着物を選ぶ

ひと口に着物といってもさまざまな種類があり、それぞれのシーンや立場によって着用する着物は異なります。

例えば、結婚式に新郎新婦の母親として出席するなら黒留袖、その他の既婚親族は黒留袖か色留袖、未婚親族なら色留袖、20代の未婚女性なら振袖を着用します。

子どもの入学式や卒業式に出席する母親なら、訪問着や色無地を着用。
友人との食事会や観劇などのカジュアルな場面では、小紋や紬の着物などを楽しむことができます。

また、結婚式やお子さんの入学式や卒業式、七五三などもそうですが、主役がいるイベントに出席する場合、主役の花嫁やお子さんよりも目立つ装いはしないことも大切です。

アクセサリーはつけないのが基本

例えば、お茶会ではお道具を傷つける可能性があるため、アクセサリーはしないのが基本ですが、それ以外に着物にアクセサリーをつけてはいけないという決まりがあるわけではありません。

しかし、フォーマルな場面ではピアスやイヤリング、腕時計やブレスレット、豪華な指輪などを身に着けるのは無作法だと思う方も多いよう。
また、アクセサリーが着物に引っかかって生地を傷めてしまう可能性も考えられます。

フォーマルな場面で着用する格の高い着物は、それだけで美しいものですし、半衿や伊達衿、帯締めや帯留めなど、着物ならではのアクセントを楽しむ小物もあるため、アクセサリーは結婚指輪程度にとどめておく方がよいでしょう。

香水はほのかに香る程度に

着物姿で香水をつける場合、直接、着物につけてしまうとシミになる可能性があります。

最近は着物をレンタルする方が多いと思いますが、香水が着物にしみ込んでニオイやシミがついてしまうと、通常のクリーニングでは落ちないため、返却した際に追加料金が発生する可能性があります。

また、久しぶりにタンスから出してきた着物を着る場合、防虫剤のニオイがしていることも。
だからといって、防虫剤のニオイを消すために香水を使用してしまうと、防虫剤とカビ、香水の匂いが混ざり合って不快なニオイになってしまいます。

香水を付ける前に、防虫剤のニオイがついてしまった着物は、風通しの良い日陰で十分に干して防虫剤のニオイを取っておくことが必要です。

どうしても香水がつけたい場合は、練り香水を使用するといいでしょう。
一般的な香水と同じように耳の裏やうなじ、手首の内側などにつけてもいいのですが、着物へのニオイ移りが気になるなら、髪の毛につけるという方法もあります。

また、香りは下から上に流れるので、香水は膝の裏やくるぶしなど下の方につけておくと、時間の経過とともに香りが上昇してくるため、ほのかに香る感じになります。
香水は直接ふりかけず、手やコットンにスプレーしてからつけるようにすると、着物につくのを防ぐことが出来ます。

着物で動くときの基本のマナー

着物での所作の美しさは着物姿をよりスマートに見せるだけでなく、着崩れやシワなどを防ぐことにもつながります。

まずは、基本の動作から身に着けましょう。

立ち姿と歩き方

着物でのマナーで、着物で美しい立ち方をするには、足を内股気味にしてつま先が開かないようにし、両足を揃えてから片足を軽く後ろにずらします。
そのまま背筋を一直線に伸ばして、姿勢を正した状態を維持します。

歩くときにはやや内股気味に歩幅を小さくして、つま先をまっすぐ出すようにしながら歩くのがポイント。草履を引きずらない、大きな音を立てないように注意することで、着物の裾が乱れるのも防げます。

階段の上り下り

階段は上るときも下るときも、階段に対して身体を少し斜めにすることでスムーズに上り下りすることができます。

左手で袖を重ねて抱えるように持ち、右手で立褄を軽く持ちあげて、着物の裾を踏まないように注意しながら階段を上り下りしましょう。

先に踏み出した足が階段につくと同時に、もう片方の足を階段に向かわせると、足首の露出を抑えることができます。

手を上げる、荷物を上げる

タクシーを止めるときや友人に居場所を知らせるために手を振るときなど、手を上げる場合には袖口を押さえることが大切です。肩よりも上に腕が上がらないように意識し、きものの袖口を押さえて二の腕が出てしまわないように気をつけます。

荷物を持ち上げるときや高い所に手を伸ばすときも、手を上げる場合と同じように、片方の袖口を軽く押さえながら、できるだけ腕が見えないように荷物を上げることが大切。

肩のラインよりも高い位置に手を上げると腕がむき出しになってしまううえ、身頃の着付けを崩す原因にもなります。

物を拾うとき

着物が着崩れしないように物を拾うためには、左手で立褄を持ち上げた後、右足を半歩後ろに引きながら腰を落としてしゃがみます。

屋外の場合は地面に膝をつかないように気をつけて、和室の場合は畳に膝をつけてかがみ、
右の袂が下につかないように注意しながら、右手で拾います。

膝を曲げずに物を拾おうとすると、お尻を突き出す体勢になり、着崩れの原因になるうえ見た目にも良くないので、しっかりかがんで物を拾いましょう。

車への乗り降りの仕方

車のドアを開けた状態で、手荷物を先に車に入れ、袖を体の前で揃えます。

着物の立褄を右手で軽く持ち上げ、シートにお尻から座り、横向きに浅く座ったら、片手で袖を軽く持ち上げて、お尻を軸にする形で足を揃え、車内に両足を入れます。

帯結びをつぶさないように浅く腰掛けて、裾を整えます。

車から降りるときには、上記を逆の順番で行い、車外で着物の裾や帯の乱れがないかをチェック。手荷物を取り出します。

訪問先での立ち居振る舞いのマナー

お世話になっている方のお宅や親戚などへの挨拶まわりには、着物でお伺いすることもあるでしょう。そんなご自宅に訪問したときの立ち居振る舞いを紹介します。

玄関先での挨拶

着物の上にコートやショールを着ている場合は玄関先で脱ぎ、手荷物とまとめて持ち、身なりを整えてからチャイムを押します。

玄関に入ったら、あがりかまちの端に荷物を仮置きして、あいさつをします。
おじぎするときは、相手より浅くならないように丁寧にしましょう。

履き物の脱ぎ方

草履などの履物を脱ぐときには、つま先を浮かせて、片足ずつかかと側に滑らせながら、足を鼻緒から外して両足を揃えます。

身体をやや斜めに向けて立ち上がり、向き直ってひざまずきます。
左手で右の袂を押さえ、履き物を揃えます。

履き物を履く場合には、着物の上前を少しあげて、片足ずつ草履の鼻緒に滑り込ませます。

和室での挨拶

通された客間が和室の場合、畳みのへりを足で踏まないように移動しましょう。
部屋の下座で待って、まずはあいさつをします。

座布団には勧められてから座ります。その際、座布団の横か後ろに正座し、次に手を軽く握って座布団の中央近くにつき、膝で移動してから座るようにします。
座布団を足で踏むのは失礼なので気をつけて。

座った状態であいさつする場合は、両手で三角を作るように膝の前で揃えてつき、頭を下げます。

手土産は部屋に通され挨拶がすんだあとに、タイミングを見計らって渡します。
風呂敷から取り出したら品物の正面を相手に向けて、両手を添えて差し出します。

正座の仕方

右足を少し引いて、右手で上前を少し引き上げて、座った時に着物が引っ張られないように膝から上にゆとりを作ります。

左手で上前の太もものあたりを押さえて腰を落とし、右手で上前をなで下ろしながら、順に膝をつきます。

膝の間をこぶしひとつ分くらい開けて両膝をつき、膝の裏のきものを左右に引いてすっきりと整えます。

両足の間に腰が収まるように座ってから、両膝をやや浮かせて上前裾の乱れを右手で整えて座り直します。

和室での立ち方

両足のかかとを立てて、その上にお尻をのせます。この時、かかとをきちんと揃えるように気をつけます。

片膝を少し立てたら、上前を押さえながら右足から立ち上がります。
足の運びに気をつければ、きれいに立ち上がることができます。

イスの座り方

イスに座る場合は、帯結びをつぶさないようにするため、背もたれにもたれずに浅めに腰掛けます。

後ろの裾が地面について擦れてしまわないように、着物を少し膝の裏に入れ込むようにすわるようにしましょう。

茶菓のいただき方

お菓子を出していただいた場合には、「頂戴致します」など一言を添えて、まずは軽く一口いただきます。このとき、お菓子を持った手に必ず逆の手も添えるようにします。

お茶をいただくときも、左手で茶碗を持ち、右手を添えていただきます。

着物で食事をする場合のマナー

着物で食事をする場合は、テーブルとの間にゆとりを持って座るのがポイントです。
イスには浅めに腰をかけて、帯とテーブルの間にはこぶしひとつ程のスペースを空けるようにして、姿勢よく座りましょう。

食事のときにもっとも大切なのが、着物を汚さないようにすること。

テーブル上にあるグラスや器を動かしたり、受け取る場合には、片手で袖口を軽く押さえ、袂に汚れがつかないように気をつけて。

ナプキンは両端を帯に挟んでおくとズレたり、落としたりするのを防ぐことが出来ます。

カジュアルなレストランなどではナプキンがない場合も。
そんな時のために大判のハンカチを用意しておき、二つ折りにした環のほうが帯側に来るように手前におき、膝にかけます。

衿もとにナプキンやハンカチを掛けて胸元への食べこぼしを防ぐのもひとつの方法ですが、衿元にナプキンを掛けるのは無作法だと思われることも。

マナー違反になるかどうかは状況やお店、主催者の考え方によっても異なりますので、周囲の人に合わせて、掛けるかどうかを決めましょう。

まとめ

着物でのマナーはわかりましたか。

大切なのは時や場所、立場に合った装いをすることと、美しい立ち居振る舞いを心がけること。これが出来れば、着物の着崩れを防げるうえ、着物姿が格段に美しく見えます。

最初のうちは難しいかもしれませんが、立ち方、歩き方、座り方など、慌てなくていいのでしっかりと実践することで、身に着けることができます。

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