着物で食事をするときのマナーや注意ポイントとは?
着物で食事するときの注意点は基本マナーを守ることと、着物を汚さないこと。
着物で食事をするというだけで緊張しがちですが、基本的なテーブルマナーと人を不快にさせない行動、TPOに合わせた着物を汚さない工夫さえできれば問題はありません。
着物で食事をする場合のマナーと所作をしっかり覚えて、楽しいひとときを過ごしましょう。
知っていますか?基本のテーブルマナー
着物での外出は結婚式やパーティーなど、フォーマルな席が多いのではないでしょうか。
そうなると気になるのが食事でのマナーです。
とくに着物でのマナーが気になる方もいると思いますが、まずはその前に、基本の食事マナーができでいるかを確認しましょう。
食事の基本マナーくらい知っているという方も多いとは思いますが、まずは和食、洋食、それぞれの基本マナーをもう一度頭に入れておきましょう。
日本料理の基本マナー
日本料理で大切なのは箸の使い方です。
箸を正しく持つのは大前提ですが、ほかにも箸の使い方にはいくつかのNGがあります。
食事の途中で箸を食器の上に渡しおく「渡し箸」。
箸を置くときは箸置きの上に置きます。箸置きがない場合は、箸袋を畳んで代用します。
箸を持ったまま食器を持つ「持ち箸」。
汁物の器を持つときにやってしまいがちですが、箸置きにおいてから器を持ちましょう。
箸で食器を手元に引き寄せる「寄せ箸」。
必ず箸を置いてから、両手で食器の移動をするようにしましょう。
同じ料理ばかりを食べ続ける「重ね箸」。
どの料理を食べようか迷い、箸をあちこちと動かす「迷い箸」。
好きなものだけを探って食べる「探り箸」。
これらもNG行為です。作り手や同席相手に嫌な印象を与えないように、バランスよく食べることも必要です。
食べ物に箸を突き刺す「刺し箸」は、箸をうまく使えない幼稚な印象を与えてしまいます。
箸の先をなめたり、口に加えたりする「ねぶり箸」。
こんなことしないでしょ?と思いますが、クセになっている人も多く、無意識にやってしまう場合も。不快な動作なので気をつけましょう。
箸の先から汁をポタポタと落とす「涙箸」。
印象が悪いうえに、テーブルの上や洋服が汚れる原因に。
また、手をお皿のようにして食べる「手皿」もマナー違反です。
器を直接持ち上げたり、懐紙を使うなど、上品に見えるように食べることが大切です。
西洋料理の基本マナー
洋食の場合は、ナイフやフォークの使い方に注意が必要です。
いくつものナイフとフォークがテーブルに並べられている場合、外側から順に使っていくのがマナーです。
また、ナイフとフォークはお皿の上にハの字に置くと食べている途中、そろえて置くと食べ終わったサインなのはご存じの方も多いのでは。
日本料理と違い、西洋料理では皿や器は手元に取り上げずにいただくため、皿は移動させないこと、グラスは飲んだあと元の位置に戻しましょう。
食器の音を立てないように食べることも注意ポイントです。
和食洋食を問わず、料理は一口サイズに切ってから口に運ぶこと。大きなままで口いっぱい頬張ったり、噛みちぎるのもNGです。
口に食べ物が入っている間に話したり、咀嚼音をたてたりするなど、周りの人が不快な思いをしてしまう行為は避けましょう。
着物で食事をするうえでの注意ポイントとは
食事の基本マナーを踏まえたうえで、さらに着物を着ているからこそ気を付けたいポイントを紹介します。
食事中の所作は、着物の汚れを防ぐという意味でもとても重要なポイントです。
着物をスマートに着こなすためにも、次の点に注意しましょう。
ナプキンの使い方
着物で食事をする場合、もっとも気になるのが着物を汚してしまわないかですよね。
それを防いでくれるのがナプキンの存在です。
ナプキンは膝にかけるのがマナーですが、着物の場合、ナプキンの両端を軽く帯に挟んでおくと、ナプキンが滑り落ちるのを防ぐことができます。
胸元を汚したくない場合はナプキンを広げて、衿の合わせに挟むようにします。
ただし、衿もとにナプキンをかけるのはマナー違反とされる場合もあるので、周囲の状況や一緒に食事をする相手に合わせて対応しましょう。
袖をおさえる
振袖の場合は、両袖を合わせてたたんで膝の上に置いておくと、袖を引きずらなくてすみます。遠くのものを取る場合などは、できれば周囲の人にとってもらった方がよいでしょう。
留袖や訪問着などの場合は、食事中に遠くの料理を取るときは、必ず反対の手で袖をおさえることを忘れずに。
着物は自分が意識しているよりも袖が長いため、気づかないうちに袖がテーブルの料理に触れて汚れてしまうことがあります。
イスへの座り方
椅子の背もたれに寄りかかるようにして座ると、せっかくの綺麗な帯がつぶれてしまいます。椅子に座るときは、浅く腰かけるようにし、背もたれに帯が付かないようにしましょう。
着物はイスにすわっていると裾がはだけやすくなります。脚はなるべく引っ付けてること。
気になるようなら、着物がはだけないように見えない位置でクリップで留めておくといいでしょう。
香水のつけ方
食事は香りと味を楽しむもの。
香水をつけたい場合には、料理や食材の香りを損なわないように、ほのかに香る程度にしましょう。
香りは下から上へと上がってくるので、着物に直接ではなく、膝の裏やくるぶしなど足につけるのがポイント。
また、着物の防虫剤臭いのをごまかそうとして香水をつける方がいますが、逆効果です。匂いが混ざってしまい、悪臭になっていることも。
久しぶりに着る着物は数日前にはタンスから出して、風通しのよいところでしっかり陰干ししておきましょう。
着物で食事をするときに持参したい便利グッズ
着物で食事をするときに、持参しておくと役立つものがあります。
食事をするときに限らず便利なものもあるので、着物を着る機会がある人はチェックしてくださいね。
大判ハンカチや小さい風呂敷
ナプキンを衿元に挟むのには抵抗を感じる場合や、カジュアルなレストランなどでナプキンが置かれていない場合には、大判のハンカチをナプキンの代わりとして利用すれば、食べこぼしたときも着物を汚さずにすみます。
化繊の小さい風呂敷も大判ハンカチのように使用できます。
風呂敷なら和柄が多いため、着物に似合うものを選ぶことができるので、あまり違和感なく利用できますし、化繊なら気軽に洗濯することができます。
懐紙
受け皿の代わりとして、口元の汚れを出すときに使用できるのが懐紙。
魚の小骨などを出すときに口もとを隠すために使用することもできます。
食事のとき以外にも、メモや包み紙などさまざまな場で使えるアイテムなので、ひとつ持っておくと役立ちます。
着物クリップ
もともとは着付けの際に使用するものですが、クリップ先端の内側にゴムが着いているため、着物を傷めることなくナプキン留めとしても使用できます。
また、トイレに行くときに裾や袖を留めるのにも利用できるので、いくつか持参しておくと便利です。
ナプキン留めとして使用するならカラフルな物や花柄など、可愛いデザインのものを選ぶのも楽しいですね。
袂クリップ
袂クリップやハンカチクリップなどの名称で呼ばれる、両端にクリップがついた紐状のアイテムも人気グッズのひとつ。
クリップにハンカチやナプキンを挟み、着物の衿にかけるようにして使用すれば、食べこぼしたときに着物が汚れるのを防げますし、両袖をクリップで留めてお太鼓に通せば、袖が濡れたり汚れたりするのを防いでくれる袂クリップとしても活躍してくれます。
着物用エプロン
着物専用に作られた、衿元から膝上までをカバーしてくれるエプロンがあります。
衿の部分に硬めの板が入っているので、衿元に差し込むだけ。同じく腰のあたりについている紐の部分にも、先端に硬い板が入っているため、その部分を帯締めに差し込むだけで、エプロンをつけることができます。
また、プリーツをあしらった、ストールとしても使えるおしゃれなエプロンもあります。
広げると着物全体を覆うことが出来るうえ、スナップボタンが付いているので着物に引っかかる心配もなく留められます。
食事中に着物を汚してしまった場合
どんなに気をつけていても、食べこぼしたり飲み物をこぼしてしまい、着物を汚してしまうことはあります。
そんなときは慌てずに、ハンカチなどで軽くおさえたり、汚れをやさしくふき取ります。
ただし、汚れを取ろうとしてむやみに何度も擦らないこと。強く擦ると着物の生地が傷ついたたり、却って汚れが広がったりするので、最低限の処置に留めておくのがポイント。
自宅で洗える着物であればそのまま洗濯すればすみますが、正絹などの高級な着物は自宅では洗濯できないため、着物専門のクリーニング店にすぐに持ち込むことが大切です。
時間がたつほど汚れが落ちにくくなるので、できるだけ早くクリーニングに出しましょう。
レンタルした着物の場合、通常ならクリーニング代を請求されることはありませんが、あまりに汚れやシミがひどい場合には別途料金を請求されるケースもあります。
まとめ
着物で食事をするときの所作や注意点について紹介しました。
着物を着て食事をするときは、基本のテーブルマナーに加えて着物での所作を意識することで、よりスマートに食事を楽しめます。
もしも食事中に着物を汚してしまったら、できるだけ早くクリーニングに出すことが大切ですが、そうならないように便利グッズなども利用して、上手に食事しましょう。
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