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入学式の着物は色留袖?それとも訪問着?覚えておきたい格の違いとマナー

2020年4月7日訪問着, 入学式

入学式に着物で出席する場合、訪問着や付け下げがふさわしいとされていますが、実は色留袖も着ていくことができます。

こういうと必ず、色留袖は親せきや友人の結婚式でないと着られないのでは?という疑問の声を耳にしますが、いくつかのマナーを守れば、入学式などの学校の式典にも着ていくことができるのです。

一見、訪問着と同じように見える色留袖ですが、いったい何が違うのでしょうか?さらに色留袖を入学式や卒業式に着ていくにはどうすればいいのかを紹介します。

色留袖は入学式にはふさわしくないってホント?

お子さんの入学式に母親が着るのにふさわしい着物として、人気を集めている訪問着。次におススメされるのは、付け下げや色無地ではないでしょうか。

入学式や卒業式などの学校の式典がフォーマルな場なのだとしたら、訪問着よりも格の高い色留袖でもいいように思いますが、なぜススメられないのか?と疑問に思いますよね。

しかも、学校の式典に色留袖は着られないのかというと、実はそうではありません。

そもそも「留袖(とめそで)」とは、どんな着物なのでしょうか。

着物の地色が黒色の「黒留袖」と、その他の色の「色留袖」に分かれていて、どちらも結婚式などの慶事に着用するのが一般的です。

とくに既婚の女性だけが着用できる五つ紋の黒留袖は、着物として最高位の第一礼装となります。

そのため黒留袖は、学校などの式典に着ていくには格が高すぎるという判断になるのです。

よく「五つ紋の黒留袖はイブニング・ドレスを着ているようなもの」などと例えられますが、卒業式や入学式のフォーマルスーツやワンピースのお母さんたちの中では、過剰すぎる装いになるというわけです。

では、肝心の色留袖はどうなのでしょうか。

色留袖は未婚・既婚を問わずに着用できるものの、第一礼装の黒留袖よりも格式は下の準礼装という位置づけになっています。ただし、五つ紋の色留袖であれば、黒留袖と同等の第一礼装となります。 

また、色留袖は親戚や友人などの結婚式や、授賞式などのお祝い事に着用するのがマナー。

礼装ですから日常的な場面で着用する機会は少なく、お祝い事といっても卒業式や入学式のような学校の式典に着ていくには、やはり格が高すぎるため、ふさわしくないと考える方もいるようです。 

一つ紋の色留袖なら入学式や卒業式でも着用可能に!

それでは、どんな色留袖なら入学式などの式典に着ていけるのでしょうか?

色留袖を入学式に着ていくために大切なのは、一つ紋か紋なしであること。

一つ紋なら準礼装として、紋なしなら訪問着と同じように幅広く装うことができます。

三つ紋以上になると格が高すぎで式典にはふさわしくないという判断になるので、気をつけましょう。

さらに比翼仕立てでないことも大きなポイント。

比翼仕立てとは留袖特有の仕立て方のひとつで、着物の衿や袖口、裾などに羽二重の白布を縫いつけて、重ね着をしているように見せる仕立て方を指します。

本来は留袖の下に白羽二重の着物を重ねて着ていましたが、現代では着物をより着やすく、動きやすくするために、部分的に別の布を縫い付けて着ているように見せるという形になりました。

入学式や卒業式などに着ていきたいと考えている色留袖の衿や袖口、裾などに白い生地が重ね縫いされていないかをチェックしてみましょう。比翼仕立てでないのなら、そのまま式典に着用しても問題はありません。

もしも比翼仕立てになっている場合は結婚式用になるため、入学式や卒業式等の式典には向きません。この場合は仕立直すことが必要です。

入学式で着るのに人気の訪問着とはどんな着物?

それでは、入学式に着る母親の着物として人気の訪問着とは、どんな着物なのでしょうか。

訪問着は未婚・既婚を問わず、幅広い年齢の女性が着ることのできる着物です。

無紋の訪問着は略礼装ですが、紋を入れることで準礼装となります。

友人や知人の結婚式、入学式や卒業式などの式典、披露宴やパーティー、お宮参りや七五三などほぼすべてのお祝い事に利用できるうえ、歌舞伎等の観劇やお茶会など、多彩なシーンに活用できる着物としても重宝されています。

そのため、訪問着は着物を楽しみたい人が、一番最初にあつらえる着物といっても差し支えないでしょう。

訪問着と色留袖は何がどう違うの?

最近は入学式などでも人気の訪問着ですが、普段、着物になじみのない方には色留袖と区別するのが難しいかもしれません。

そこで、訪問着と色留袖との違いについても紹介しておきましょう。

格が高いのはやはり色留袖になります。

実は大正時代まではフォーマルな場面では留袖、日常的に着るのは小紋が一般的でした。

しかし時代の移り変わりとともに、留袖と小紋だけでは対応しきれないことが多くなり、その合間のプチフォーマルな場面で役立つ着物として生まれたのが訪問着なのです。

そのため、今でも留袖の方が訪問着よりも格が高いという位置づけになります

訪問着と色留袖、どちらも縫い目で途切れることのない、一枚の絵のようにつながる絵羽模様なのですが、一目でわかる大きな違いは上半身に柄があるかどうかです。

上半身が無地で帯下から裾にかけてだけ絵柄があるのが色留袖。肩から胸にかけての上半身と、帯下から裾にかけても絵柄が入っているのが訪問着です。

もともと祝い事のために作られた色留袖は、おめでたいことを意味する古典柄のものがほとんど。一方、訪問着は古典柄からモダンなものまで、絵柄の種類が豊富なのが特徴で、ファッション性の高い着物ともいえるでしょう。

実は入学式には訪問着より色留袖が向いている?

子どもが主役の入学式での母親の装いは、控えめであることが求められます。

同じような色合いの訪問着と色留袖の場合、上半身に絵柄がない色留袖のほうが、訪問着よりも控えめな印象になります。

また、色留袖はもともとお祝い事のための着物ですから、前述した通りほとんどの絵柄がおめでたいもののため、訪問着のようにどの絵柄が式典にふさわしいのかと悩む必要がありません。

卒業式には色無地が人気のようですが、色無地よりも少しだけ華やかに装いたい、そんなときには、訪問着よりも色留袖を着用してみるのもいいでしょう。

入学式の着物をレンタルするなら訪問着

入学式の着物として色留袖をオススメする理由のひとつとして、レンタルしやすいというのも挙げられます。

学校の式典にふさわしいのは訪問着に付け下げ、色無地といわれがちですが、色無地や付け下げをレンタルできるところは少なく、フォーマルな装いである色留袖や訪問着のほうが圧倒的に種類も豊富で、レンタルしやすいという大きな特徴があります。

入学式の着物をお手持ちの中からお召しになるのなら問題はありませんが、レンタルを考えるなら、訪問着だけでなく色留袖も選択肢の中に入れておくと、着ていける着物の幅が大きく広がります。

まとめ

格式が高すぎるため、卒業式や入学式には向かないと考えられがちの色留袖。

しかし、一つ紋で、比翼仕立てではない色留袖であれば、十分に入学式や卒業式などに着ていくことができます。

レンタルもできるので、式典で着られるだけでなく、年齢を問わず長く愛用することができるでしょう。