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卒業式や入学式に色留袖はOK?着ても良い色留袖は?訪問着との違いとは?

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卒業式や入学式に着物で出席する場合、ふさわしいのは訪問着や色無地、付け下げだといわれています。
親戚の結婚式のためにあつらえた色留袖は着られないの?という疑問の声を耳にします。
フォーマルな装いが望ましい卒業式や入学式なのに、着物の中でも格が高いはずの色留袖は、どうして学校の式典に着ることはできないのでしょうか?
最近人気の訪問着とは何が違うのでしょうか?さらに色留袖を卒業式や入学式に着ていくにはどうすればいいのかを紹介します。

色留袖は入学式や卒業式にはふさわしくない? 

そもそも「留袖(とめそで)」とは、どんな着物なのでしょうか。

大きな特徴としては上半身に柄はなく、帯下から裾にかけてのみ柄があることが挙げられます。
着物の地色が黒色の「黒留袖」と、その他の色の「色留袖」に分かれていて、どちらも結婚式などの慶事に着用するのが一般的です。
とくに既婚の女性だけが着用できる五つ紋の黒留袖は、着物として最高位の第一礼装となります。

そのため、学校などの式典に着ていくには格が高すぎるという判断になるのです。
よく「五つ紋の黒留袖はイブニング・ドレスを着ているようなもの」などと例えられますが、卒業式や入学式のフォーマルスーツやワンピースのお母さんたちの中では、過剰すぎる装いになるというわけです。

では、色留袖はどうなのでしょうか。

色留袖は未婚・既婚を問わずに着用できるものの、第一礼装の黒留袖よりも格式は下の準礼装という位置づけになっています。ただし、五つ紋の色留袖であれば、黒留袖と同等の第一礼装となります。

また、色留袖は友人や知人、親戚などの結婚式や、授賞式などのお祝い事にしか着用しないのがマナー。
礼装ですから日常的な場面で着用する機会は少なく、お祝い事といっても卒業式や入学式のような学校の式典に着ていくには、やはり格が高すぎるため、ふさわしくないと考えられています。

一つ紋の色留袖なら卒業式や入学式でも着用可能に!

それでは色留袖は絶対に卒業式や入学式に着ては行けないのでしょうか?

色留袖を卒業式や入学式に着ていくために大切なのは、紋なしまたは一つ紋であること。
紋がなくても訪問着より格上という位置づけにはなりますが、紋なしや一つ紋なら、訪問着と同じようにフォーマルな着物として幅広く装うことができます。
三つ紋以上になると格が高すぎで式典にはふさわしくないという判断になるので、気をつけましょう。

五つ紋や三つ紋の場合でも、上から羽織を着てしまえばわからないのでは?と、考えられる方もいるようです。
確かにその時の式典は羽織で乗り切れるかもしれませんが、小学校、中学校、高校、そして大学と、今後何度もやってくる学校の式典に色留袖を着ていくつもりなら、一つ紋や紋なしの色留袖を用意したほうがよいでしょう。

比翼仕立てでないことも大きなポイント。
比翼仕立てとは何かというと、留袖特有の仕立て方のひとつで、着物の衿や袖口、裾などに羽二重の白布を縫いつけて、重ね着をしているように見せる仕立て方を指します。
本来は留袖の下に白羽二重の着物を重ねて着ていましたが、現代では着物をより着やすく、動きやすくするために、部分的に別の布を縫い付けて着ているように見せるという形になりました。

卒業式や入学式に着ていきたいと考えている色留袖の衿や袖口、裾などに白い生地が重ね縫いされていないかをチェックしてみましょう。比翼仕立てでないのなら、そのまま式典に着用しても問題はありません。

もしも比翼仕立てになっている場合は、結婚式用になるため、卒業式や入学式等の式典には向きません。色留袖を仕立てたお店に相談をして、仕立直すことが必要です。

卒業式や入学式で人気の訪問着と色留袖はどう違う?

最近は卒業式や入学式などでも人気の訪問着ですが、普段、着物になじみのない方には色留袖と区別するのが難しいかもしれません。
そこで、訪問着と色留袖との違いについても紹介しておきましょう。

格式が高いのはやはり色留袖になります。
一つ紋や紋なしでも訪問着より格上なの?と疑問に思うかもしれませんが、実は大正時代まではフォーマルな場面では留袖、日常的に着るのは小紋が一般的でした。
しかし時代の移り変わりとともに、留袖と小紋だけでは対応しきれないことが多くなり、その合間のプチフォーマルな場面で役立つ着物として生まれたのが訪問着なのです。
そのため、今でも留袖の方が訪問着よりも格式が高いという位置づけになります

訪問着と色留袖、どちらも縫い目で途切れることのない、一枚の絵のようにつながる絵羽模様なのですが、一目でわかる大きな違いは上半身に柄があるかどうかです。

上半身が無地で帯下から裾にかけてだけ絵柄があるのが色留袖。肩から胸にかけての上半身と、帯下から裾にかけても絵柄が入っているのが訪問着です。

もともと祝い事のために作られた色留袖の絵柄は、おめでたく格調高いものがほとんど。一方、訪問着は古典柄から個性的なものまで、絵柄の種類が豊富なのが特徴で、ファッション性の高い着物ともいえるでしょう。

そのため、訪問着は着用できる場所も幅広く、披露宴やパーティー、結納などのおめでたい席に加えて、卒業式や入学式、お宮参りや七五三など、さまざまな場面で着られています。

実は卒業式や入学式には訪問着より色留袖が向いている?

子どもが主役の卒業式や入学式での母親の装いは、控えめであることが求められます。
同じような色合いの場合、上半身に絵柄がない色留袖のほうが、訪問着よりも控えめな印象になります。
また、色留袖はお祝い事のための着物ですから、絵柄も最初からおめでたいもののため、訪問着のようにどの絵柄が式典にふさわしいのかと悩む必要がありません。

訪問着にはさまざまな場面で活躍できるものをと考えた場合、落ち着いたものよりも、ある程度は華やかな色や柄のものを選んだほうが着回しやすいかもしれません。

卒業式などでは色無地も人気がありますが、入学式では色無地よりも少しだけ華やかに装いたい、そんなときには、色留袖を着用してみるのもいいでしょう。

まとめ

格式が高すぎるため、卒業式や入学式には向かないと考えられがちの色留袖。しかし、一つ紋や紋なしで、比翼仕立てではない色留袖であれば、十分に卒業式や入学式などに着ていくことができます。さらに、落ち着いた色合いの色留袖を選ぶことで、式典で着られるだけでなく、年齢を問わず長く愛用することができるでしょう。

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