入学式の着物はマナーが大切。年代別の選び方・実例紹介付きでわかりやすく解説
入学式の着物にはマナーやルールに沿った着物や帯、小物選びが求められます。
そのため入学式で着物を初めて着用する母親は、予めマナーやルールを知っておくことが必要です。
自分の年代に合った着物を選ぶことができれば、ワンランク上のおしゃれなママの着こなしになります。
入学式では母親が心がけたい着物マナー
初めての子どもの入学式。
何を着て行こうかと考えたとき、着物を着てみたいと思うママさんは案外多いのでは。
しかし、最近は入学式で着物姿の母親を見ない気がする、どんなルールやマナーがあるのかよくわからない、悪目立ちしたら恥ずかしいからと、結局二の足を踏んでしまうようです。
そもそも、いまも入学式や入園式に母親が着物を着て行ってもいいのでしょうか。
入学式に着物で出席してOK
確かに昔ほど着物姿の母親を見なくなりましたが、着物はお祝い事にふさわしい装いですから、入学式や入園式などに着物で出席しても何の問題もありません。
とはいえ、着物で出席するママさんがどの程度いるのか、どんな着物を着ているのかなどは、地域や学校によっても異なります。
できれば入学する学校の様子を、事前に先輩ママさんから情報収集しておくといいでしょう。
見守る立場を意識した着物選びを
お子さんの入学式で母親が着物を着る場合、フォーマルな場にふさわしい格の着物を着ることが大切です。フォーマルといっても結婚式やパーティーなどとは異なり学校の式典ですから、派手過ぎない落ち着いた装いを心がけるといいでしょう。
着物だからとつい構えてしまいがちですが、入学式の主役はお子さんで、母親は見守る立場だということを意識してさえいれば、自然と入学式にふさわしい母親の装いや振る舞いになるのではないでしょうか。
4月の入学式には袷の着物がルール
着物の仕立て方には裏地のある袷(あわせ)、裏地のない単衣(ひとえ)、透け感のある薄物(フォーマルシーンでは主に絽(ろ))という3種類があり、それぞれ着用する季節が決まっています。
●袷(あわせ)の着物は10月から5月まで
●単衣(ひとえ)の着物は6月と9月
●絽(ろ)の着物は盛夏(7月と8月)
着用時期は多少前後しますが、入学式は通常4月に行われる学校がほとんどのため、着用する着物は袷(あわせ)の着物となります。
母親にふさわしい入学式の着物
基本的なマナーがわかったら、母親としてどんな着物を選べばいいのかを具体的に紹介します。
着物の種類は準礼装や略礼装にあたる着物を選ぶ
お子さんの入学式に着物を着用するなら、学校の式典にふさわしい準礼装や略礼装の「訪問着(ほうもんぎ)」「付け下げ(つけさげ)」「色無地(いろむじ)」「江戸小紋(えどこもん)」などが一般的です。
訪問着(ほうもんぎ)
訪問着は留袖に次ぐ格の着物で、紋を入れれば準礼装、紋がないままなら略礼装となります。
訪問着は、胸や袖、裾などに柄付けされていて、着物全体が一枚の絵のようになっているのが特徴。
入学式などの式典や結婚式などおめでたい場にふさわしいうえ、年齢や未婚既婚を問わずに着られる便利な着物として重宝されています。
最近の傾向としては、入学式や結婚式でも紋のない訪問着の方が多いようです。
紋のないほうが幅広く着用できること、また最近はレンタルを利用する方も多いため、紋のない訪問着を着用する方が増えており、留学式に無紋の訪問着でも問題はないでしょう。
付け下げ(つけさげ)
付け下げ(つけさげ)は訪問着を控えめにする目的で作られたフォーマル用の着物で、格は略礼装となります。
そのため、訪問着よりもさらに控えめに装いたい場合に着用する方が多いようです。
実際、着物全体が一枚の絵のようになっている柄付けの訪問着とは異なり、付け下げは柄が縫い目では繋がっていないため、全体的に控えめに見えるのが特徴です。
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色無地
色無地とは白地を黒以外の一色で染めた、絵柄のない着物のこと。
紋の数により格が変わりますが、一つ紋を入れることで略礼装となり、入学時に着て行くのにふさわしい着物となります。
色無地には柄がないため派手な地色を選ばなければ、それだけで品の良い印象に。
帯や小物の合わせた方次第で印象が変わるため、着まわしやすいのも魅力です。
最近は無紋の色無地の方も見受けられますが、まだまだ一つ紋のほうがふさわしいと考える方も多いようです。無紋の色無地を着用したい場合には地域や学校など、周囲の方に事前に情報収集したうえで判断することをオススメします。
江戸小紋
江戸小紋は江戸時代の武士の裃から発展した、白生地に細かい柄の着物です。
中でも、「江戸小紋三役」といわれる“極型の鮫小紋(さめこもん)”“行儀小紋(ぎょうぎこもん)”“角通し小紋(かくとおしこもん)”は格の高い模様といわれ、柄が細かいため無地のように見えるのが特徴です。
ここに、“大小あられ”と“万筋”などの縞文様を加えた「江戸小紋五役」は、一つ紋を入れることで略礼装となり、入学式にも着ることができる着物になります。
地色は上品でやさしい色合いのものを
入学式の主役はお子さんですから、見守る立場の母親の着物は控えめな色味のものを選びます。
明るくてやさしい色合いの淡いピンクやクリーム、水色、薄緑や薄紫などがおすすめです。
気品を感じる装いにしたいなら、紺色やライトグレーなどもいいでしょう。
赤や黄色などの原色、ビビッドなピンクやオレンジ、紫などの派手な色はNGです。
絵柄は縁起の良い吉祥文様がオススメ
訪問着や付け下げのように柄のある着物の場合、昔からある古典柄を選ぶと格調高い印象になります。
中でも、松竹梅や菊、牡丹、鶴、熨斗、扇、宝尽くしなどの縁起の良い吉祥文様がハレの日には最適です。
ただし、大柄なもの、柄が多いもの、斬新なデザインなものはどうしても目立つため、避けたほうがよいでしょう。
入学式の着物に合わせる帯や小物のマナー
着物の選び方がわかったら、次は着物に合わせる帯や小物のマナーを覚えましょう。
品の良い袋帯で二重太鼓を結んで
着物と同じように帯にも格があります。
入学式のようなフォーマルな場にふさわしいのは袋帯です。
結婚式の場合には、金糸・銀糸がふんだんに使用された豪華な袋帯を使用しますが、入学式などの式典の場合は、金糸や金彩を控えめにした品のよいものが主流。
喜びが重なるようにとの意味を込めて「二重太鼓」という形に結びます。
着物の色と帯の色を同系色で合わせると落ち着いた印象に、着物と反対色の帯を選ぶとメリハリのあるおしゃれな印象になります。
また、着物の柄と帯の柄を同じ古典柄にすることで統一感のある装いになります。
帯を反対色や濃い色にすると派手になるのではと心配な場合には、帯はおとなしい色にして帯揚げや帯締めに反対色を使いアクセントにすると、センスの良い装いになります。
長襦袢や半衿は白か淡い色・足袋は白
結婚式などでは白の長襦袢を着用するのがマナーですが、入学式の場合は白もしくは着物に合わせた薄い色のものを選びましょう。
半衿は白か、白の地色に淡い色糸の刺繍入りや、薄い色のものを合わせます。
半衿を長襦袢と同じ色にすると、すっきりとした着こなしになります。
フォーマルシーンでは白足袋が基本です。淡い色でもマナー違反になるので気をつけて。
バッグや草履は着物に合ったものを
バッグや草履は着物の色柄に合ったものを選びましょう。
バッグは着物とのバランスがとれていれば和装用でも洋装用でもかまいません。
洋装のバッグなら、小ぶりのクラッチバッグやハンドバッグを選ぶとすっきりと見えます。
入学式の場合、式典後に学校からの配布物などを渡されるため、折りたためるサブバッグを持参することも忘れずに。
最近は荷物がたっぷり入るフォーマル用の和装バッグもありますから、利用するのもひとの方法です。
草履は白やシルバー、淡い色を基調にしたフォーマル用のものを。
かかとが高いほど格式が高いといわれていますが、式典の場合は5~6㎝程度を目安にするとよいでしょう。
母親の年代別・入学式の着物
着物の基本マナーがわかったら、次は自分の年代に合った着物を選んでみましょう。
自分の年代にふさわしい着物選びを意識するだけで、おしゃれ上手な印象を与えることが出来ます。
20代の母親におすすめの入学式の着物
20代のママの場合、訪問着、付け下げ、色無地の中から入学式の着物を選ぶとしたら、オススメしたいのは訪問着です。
未婚既婚を問わず、入学式や卒業式、結婚式やパーティーなど様々な場面で活躍してくれる訪問着。
一枚あるだけで重宝することから、最初に仕立てたい着物ともいわれています。
そのため、入学式をきっかけに着物を仕立てたいという方にはおすすめです。
レンタルする場合も、訪問着は色無地や付け下げよりも種類が豊富に揃っているため、自分に似合う一枚を見つけやすくなります。
では、具体的にどんな訪問着を選べばいいかといえば、入学式という門出にふさわしい明るい地色のものを選びましょう。
例えば、淡いピンクやクリーム、淡いうぐいす色などの春色や、明るい水色などの地色に、優しい色遣いで古典柄が描かれた訪問着なら、若々しさの中にも気品が感じられる装いになります。
訪問着|水色に吉祥花の丸|H0159 / レンタル価格 19,800円(税込/往復送料込)
訪問着|クリームに熨斗目流水|H0074|L¥24,800(税込)
30代の母親におすすめの入学式の着物
30代のママの着物は、洗練された上品な装いをめざしましょう。
ポイントは明るい色より、やわらかい色や穏やかな色の着物を選ぶこと。それだけでエレガントな印象になります。
ただし、トーンを落とし過ぎると地味な印象になってしまうため、柄のない色無地を選ぶときには注意が必要です。
くすんだ水色や淡い黄緑色、薄紫など、落ち着いているけれど地味には見えない色味のものを選ぶとよいでしょう。
自分の似合う色を知っている方も多い年代ですから、中には明るい色の着物のほうが顔映りがキレイに見えるという方も。
その場合、明るい地色の訪問着でも色数や柄数が少ないデザインの着物を選べば、落ち着いた印象になります。
もともと訪問着よりも柄数が少なくて、落ち着いた印象の付け下げを利用してもいいでしょう。
訪問着|桜色に四季草花|H0232|L / レンタル価格 19,800円(税込/往復送料込)
訪問着|桂由美 薄い緑地に辻が花|H0151|L / レンタル価格 29,800円(税込/往復送料込)
40代の母親におすすめの入学式の着物
40代になると、何度もお子さんの卒業式や入学式に出席されたという方も。
その経験からフォーマルシーンで着物を楽しむ余裕も生まれているのではないでしょうか。
40代の母親が気をつけたいのは、以前仕立てた訪問着があるからと油断しないこと。
20代や30代の時に着ていた訪問着が、40代になったら似合わなくてビックリすることも。
年齢と共に似合う着物も変わっていくので、お手持ちの着物を着用する方は早めに確認を。
また、色無地の生地の高級感や地紋の美しさがしっくりくる40代には、小紋の中で唯一、入学式で着用できる江戸小紋もおすすめです。
着物を知っている大人の女性だからこそ、色無地や江戸小紋などの一見シンプルだけど、実は美しい着物を上手に着こなせるともいえるでしょう。
ただし、色無地や江戸小紋だと落ち着きすぎると感じる場合には、柄の数や色味が少ない訪問着を。
やはり少しでも柄があると、わかりやすい華やかさが加わるため、入学式というハレの日にふさわしい装いに感じられます。
訪問着|青白磁にヱ霞と四季草花|H0204|M / レンタル価格 19,800円(税込/往復送料込)
訪問着|濃紺に花刺繍|H0127|M / レンタル価格 29,800円(税込/往復送料込)
入学式の着物にふさわしいヘアスタイル
入学式というフォーマルシーンで着物を着用するときには、着物姿にふさわしいヘアスタイルに整えていくことも大切なマナーです。
ショートなら髪飾りで華やかに
ショートヘアの場合は、きれいに整えて髪飾りをつけるだけでも華やかに見えます。
もしも後ろ髪が5cm以上あるなら、まとめて襟足が見えるスタイルにしてもいいでしょう。
前髪が長いならポンパドウルにしたり、髪を片側に寄せて動きを出す、サイドを編み込みにして前から見るとアップしているように見せるのもひとつの方法です。
ミディアムヘアならシニヨンに
肩につくくらいの長さなら、シニヨンや夜会巻きなどのアップスタイルでまとめましょう。
アップにできないなら、ハーフアップなどでまとめてもすっきり見えます。
トップとサイドの髪を編み込みにしてひとつのお団子にまとめると、崩れにくいうえやわらかい雰囲気のヘアスタイルになります。
ロングヘアならふんわりアップに
ロングヘアならアップスタイルにすることで、フォーマルにふさわしい髪型になります。
夜会巻きやサイドを編み込んで襟足あたりでまとめたスタイルなど、ふんわりやわらかい印象に仕上がるようにまとめましょう。
ボリュームを出し過ぎたり、編み込みをいくつも入れる、おくれ毛をたくさん出すなどのヘアスタイルは派手に見えるのでやめたほうが無難。
また、アップスタイルはボリュームが出るため、髪飾りはシンプルな物を下のほうに飾るとバランスよく見えます。
入学式の着物選びはレンタルがおすすめ
入学式用に着物を仕立てようとすると思った以上に時間と費用がかかってしまい、着物で出席することをあきらめてしまいがちですが、レンタルを利用すれば、手軽に好きな着物を着ることができます。
実は入学式の着物に悩みがちな人ほど、着物レンタルがおすすめだという声も聞かれます。
最近のレンタルはすでに着物に帯、それに合わせる草履やバッグの小物まで、トータルコーディネートされているため、コーディネートに頭を悩まされる心配がないのです。
着物をセレクトする時にも、子どもの七五三や入学式、結婚式などのシーン別や、それぞれの年代別にふさわしい着物が提案されるため、しまった場違いだった!という失敗をすることがありません。
クリーニングなどのお手入れや保管の心配もないので、セレモニーごとにレンタルすれば、おしゃれ上手な母親としてお子様にも喜ばれるはず。
しかも、きものレンタリエでは自分で着物が着られるように、着付けの体験キットも用意しています。
着物、襦袢、帯、帯〆、帯揚げ、着付け小物(腰紐、コーリンベルトなど)一式と着付けを学ぶための動画集(YouTube)をセットで、なんと13泊14日もレンタルすることができるので、たっぷりと着付けの練習ができます。
入学式には自分で着物が着られるように、この機会にぜひ着付けにも挑戦してみてはいかがでしょうか。
まとめ
入学式での母親の着物は、準礼装や略礼装の訪問着、付け下げ、色無地、江戸小紋が一般的です。
他にも帯や長襦袢、半衿、足袋など、さまざまなマナーがありますが、覚えてしまえばそれほど難しいことではありません。
それでも、自分ですべて揃えるのが難しい場合には、レンタルを利用するのも賢い方法です。
TPOに合わせてトータルコーディネートされている着物レンタルを利用すれば、悩むことなく年代に合った入学式の着物を着用ことができるので、ぜひ一度チェックしてみては。