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着物の衣替えとは?季節に合った着物の着分け方

着物の豆知識

袷の着物を着た女性と単衣の着物を着た女性と薄物の着物を着た女性

着物の衣替えでは、季節に合わせて袷(あわせ)、単衣(ひとえ)、薄物(うすもの)という三種類の着物に衣替えすることが必要になります。
では、袷、単衣、薄物とは、いったいどんな着物なのでしょうか。
また、どのタイミングでどの着物を着ればいいのかなど、季節に合った着分け方を紹介します。

着物の衣替えをする理由

衣替え」といえば、夏物と冬物の洋服を入れ替えることだと思いがちですが、実は着物には着物ならではの衣替えがあります。

しかも季節に合わせて4回も衣替えをしなければならず、「そんなに?」と驚く方も多いかもしれませんが、春夏秋冬という四季折々の表情がある日本だからこそ、季節感を大切にした着物の衣替えや着分け方が発達したといわれています。

また、「着物とは着る人だけでなく見る人をも楽しませるもの」という考え方があり、客観的に見て自分の着物姿が四季折々の景色に調和しているかを意識することも重要です。
そのため着物では色柄だけでなく、仕立てや生地が与える季節感も大切にされているのです。

衣替えの由来

衣替え」とは平安時代に中国から伝わった習慣で、宮中行事として旧暦の4月1日と10月1日に、夏装束と冬装束を入れ替えていたことから始まりました。

最初は「更衣(こうい)」と呼ばれていましたが、更衣は女官の役職名だったことから「衣更え(衣替え)」と呼ばれるようになりました。

江戸時代になると着物の種類が増えたこともあり、気候に合わせて年4回の衣替えを行うようにと武家に対して定められました。

旧暦4月1日~5月4日は裏地のついた袷
旧暦5月5日~8月末は裏地のない単衣(麻の帷子)
旧暦9月1日~9月8日は裏地のついた袷
旧暦9月9日~3月末は綿入り

これがやがて庶民にも広がっていき、明治時代に洋服と新暦が取り入れられると、軍人や役人が制服を着るようになり、夏服は6月1日~9月30日、冬服は10月1日~5月31日に着用するようになりました。

この影響で学校や官公庁、制服のある会社に加えて、一般家庭でもこの日を目途に衣替えを行うようになりましたが、現代では昔よりも気温が上昇していることもあり、6月1日と10月1日という日付よりも、気温に合わせて衣替えを行うケースが多くなっているようです。

着物の種類と衣替えの時

袷の着物を着た女性と単衣の着物を着た女性と薄物の着物を着た女性
着物の衣替え

着物の衣替えは洋服とは異なり年4回行われます。

着物は大きく分けると、「袷(あわせ)」「単衣(ひとえ)」「薄物(うすもの)」の3種類があり、これを季節に合わせて着分けるのが基本です。

では、どのように着分けるのでしょうか。

10月から5月に着る「袷(あわせ)」

10月から5月という一年のうちで最も長い期間着用する「」は、表地と八掛(はっかけ)と胴裏(どううら)という裏地を合わせて仕立てた着物のこと。
胴、袖、裾などのすべてに裏地が付いている二枚重ねのため、寒い季節でも暖かく過ごすことができます。

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6月に着る「単衣(ひとえ)」 

紺色の単の着物を着る女性

春から夏にかけての季節の変わり目に着るのが「単衣」の着物です。この時期に着る単衣のため「春単衣」と呼ばれています。

表地だけで仕立てられた透け感のない着物で、裏地がないため袷よりも軽くて風通しが良いのが特徴です。

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7月・8月に着る「薄物(うすもの)」

単の着物をハンガーに吊るす女性

7月から8月に着る薄物は、裏地をつけずに仕立てられた透け感のある着物のこと
薄物には、正絹やポリエステルなどの素材で目が空くように織られた「絽(ろ)」や「紗(しゃ)」などの夏用の生地が使われており、どちらも透け感があるのが単衣との違いです。

絽のならフォーマル、紗はセミフォーマルやカジュアルシーンで着用できます。

夏の着物の素材には「麻」もありますが、麻は透けていなくても薄物として扱われます。
麻の着物はフォーマルでは着ることができないため、カジュアルなお出かけ着となります。

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9月に着る「単衣」

夏の終わりの9月にも単衣を着用します。このときの単衣は「秋単衣」と呼ばれています。
最近は9月といえども暑い日が続くため、気温が高い日には薄物を着ている方も多いようです。

ルールに縛られず、その日の気温などの状態で薄物か単衣かを選んだほうがよいでしょう。
季節感が気になるようなら、落ち着いた色味の透け感があまりない薄物を選べば、初秋でも浮くことなく着られるのではないでしょうか。

帯や長襦袢なども衣替えが必要

和装の衣替えは着物だけではなく、帯や帯揚げ、長襦袢なども入れ替えます。

帯や帯揚げの衣替えは透け感がポイント

薄物と袷の帯と長襦袢と帯締め・帯揚げ

帯の場合は「夏以外に使える帯」と「夏帯」に分けられますが、見分け方のポイントは「透け感」です。「」素材や、「羅・絽・紗」という織りの生地なら透け感があり、涼しげな表情を演出できます。

帯揚げも帯と同様に「夏以外に使う帯揚げ」と「夏に使う帯揚げ」の2つに分けられます。こちらも見分けるポイントは「透け感」です。

薄手の帯揚げもあるので見分けがつきにくいかもしれませんが、夏以外に使用する帯揚げは「縮緬」や「綸子」などの生地が一般的。
夏物は透け感の強い「絽」や「紗」の帯揚げとなります。

ちなみに帯締めにも夏用はありますが、基本的にはどれも通年使用することができます。
帯締めはアクセントとして、色味などで季節感を演出するとよいでしょう。

長襦袢は袖・衿・腰回りの裏地に注目

半衿をつけて着る長襦袢には、大きく分けると夏用と夏以外に着用できるものになります。
見分けるポイントは「」と「」、「腰回りの裏地」です。

夏以外の時期は透け感のない生地で、無双袖、腰回りには居敷当てをつけた仕立ての長襦袢が一般的です。半衿には、透け感のない塩瀬や縮緬のものを使用します。
無双袖とは「袖」の仕立て方のことで、表に見える面も裏に見える面も生地の表面が出るように仕立てられています。

一方、夏の間は絽や麻などの透け感のある生地を使用した、単衣袖、腰回りに居敷当てはつけない仕立ての長襦袢となります。
ただし、透け感を抑えるために居敷当てをつけることもあるので気をつけましょう。
半衿も「絽」などの透け感のある生地を使用します。

まとめ

洋服に夏物と冬物があるように、着物や帯も季節によって選ぶものが異なります。
季節に合った着物の素材や仕立て方を選ぶことで、寒い季節には温かく、暑い季節には涼しく装えるようになります。
つまり季節に合わせて衣替えすることは、見た目にも着ている人にも快適な着こなしにつながるのです。
この機会にぜひ、いつ、どんな着物を着るのか、季節に合わせた着分け方を覚えておきましょう。

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