着物の文様・柄 -八ツ橋文(やつはしもん)-
着物の文様の一つである八つ橋文(やつはしもん)とは、水辺に杜若(かきつばた)が咲き、池や小川などに幅の狭い板を継(つ)ないで架けた橋が描かれた文様です。
八ツ橋文は小川などの流水、橋(板)、杜若(かきつばた)がセットで描かれている着物の場合、5月~6月初旬(初夏)に着るのがおすすめです。
杜若(かきつばた)はアヤメ科アヤメ属の植物で日本に古来よりあります。
開花時期は5月~6月頃の夏の気配が感じられる初夏で、水辺の浅い位置から50cm~70cmの丈に成長し、深みのある鮮やかな青色の花が咲きます。
杜若とあやめ(菖蒲)はよく似ていますが、咲いている場所と花弁の模様で見分けが付きます。
杜若は水辺に咲くのに対して、菖蒲は乾燥した陸地に植えられます。花弁は、杜若が白い細い剣先のような模様がつくのに対して、菖蒲は網目のような細かい模様が入ります。
八ツ橋文は、愛知県の西三河地方を流れる境川水系の二級河川である逢妻川(あいづまがわ)南部では、川の流れが乱れているので8つの橋を架けたことからこの地名となりました。
この橋は『伊勢物語』第九段東下りで有名になり、光琳作の「八橋蒔絵螺鈿硯箱(やつはしまきえらでんすずりばこ) 」等に使われていれます。各種工芸品や染織品に使われています。