洗い張りとは?
洗い張りとは?
洗い張りとは、仕立てられた着物を一度全てほどき反物の状態に戻して、水洗いとのり付けをし直すことをいいます。これには、針がついた竹ひごや張り板を用いて、ピンと張りながら作業を行っていきます。
洗い張りとは、以下のような目的で行うものです。
・着物の汚れを落とす
・一度のりを落としてから再度のり付けをすることで生地を蘇らせる
・洗い張りによって筋を取り着物を仕立て直す
(寸法・裏地・八掛の色・生地の前後左右や裏表などを変えることができる)
洗い張りを行う前に知っておきたいこと
洗い張りを行う前にこれは知っておきたいことが一点あります。
当然といえば当然なのですが……
「仕上がりは反物の状態になる=仕立て直しが必要になる」ということ。
洗い張りを行うことで、メリットもある反面、意外とこの事実を知らずに、洗い張りに出した後にショックを受けるという方も中にはいるようです。
仕立て直しには、時間と費用が新たにかかるためその点はしっかりと理解した上で、行うようにしましょう。
そう考えると、何だか洗い張りのデメリットが先に浮かんでしまうかもしれませんが、言い換えれば「きれいに仕立て直すことができる」とも捉えられます。仕立て直すときには、寸法を見直してみたり八掛の色を変えてみたりと、着物の雰囲気を変えて楽しむことができるのは、大きなメリットではないでしょうか?
洗い張りをするべき着物はどんなもの?
洗い張りが必要となるのは、以下のような着物です。
・シミや汚れやカビがひどい着物
・寸法が合わなくなった着物
着物のシミ汚れやカビは、丸洗いすることでも落とすことはできますが、あくまで表面上のものしか落とすことはできません。胴裏の裏側までカビが行き届いてしまっているような状態の悪い着物には、ぜひ洗い張りで分解することで細部の汚れまできれいにすることをオススメします。
また、体型が変わってしまい着物の寸法が合わなくなった場合や、娘など他の誰かに着物を譲るために寸法を直す場合などにも、洗い張りで一度きれいな状態に戻すのがよいでしょう。
洗い張りをするメリットとは?
洗い張りをすることで得られるメリットは以下のようなものが挙げられます。
・絹物は水洗いすることでハリと光沢や色鮮やかさが蘇る
・高価な着物も長く着こなすことができる
現代と昔で異なる衣服の取り扱いとは?
ファストファッションが主流となっている現代では、安く手に入れ、古びたり飽きたりしたらすぐに捨ててしまう流れがありますが、昔はひとつのものを手入れしながら長く愛用していました。
例えば、傷んだ着物はつぎ合わせて子供の着物や座布団に、布を裂いてハタキにして使い古していたそうです。また、木綿の古布は、現代で知られる「刺し子」の元となった手法で、糸を幾重にも刺して補強し丈夫な仕事着へと、さらに使い古した柔らかな布は赤ちゃん用のおむつへと作り直していました。
その他にも、靴下や上着やズボンなども、たとえ傷んでほころんだとしても補修することで、長く使い古したそうです。
まとめ
いかがでしたか?洗い張りは、衣服を丁寧に長く愛用するために昔から伝わる方法です。着物などの和服をはじめ、衣服をもっと大切にする意識を持ちたいものですね。