繰越しとは?わかりやすく説明
繰越しとは?
繰越しとは、衿肩あきをずらすこと、もしくは肩山から衿肩あきまでの距離のことをいいます。
衿肩あきをずらすという意味の繰越しは、女性の着物の衿を抜きやすくするためにするものであり、肩山よりやや後ろに下がった所に向かってずらします。
距離という意味での繰越しでは、以前は5分が主流でしたが、最近は7分が主流となっています。繰越しは着物の格、着方、種類によっても異なり、5分~1寸の間で好みによって変えたり、紬などの織り着物では少なめ、染め着物では多めにしたり、といった調整の仕方もあります。
適度な繰越しの調整方法
適度な繰越しの調整方法は、着付けの先生によっても様々で意見は異なります。
5分の繰越しが主流だった頃は、繰越しを多く見せるために襦袢に付けた衣紋抜きを無理に引いて着用していましたが、これでは衿がうまく抜けずに前のめってしまうことが難点です。
衿が抜けやすくするためには繰越しを大きくする方がよいので、調整さえすればよいのかというと、そうとも言い切れません。あまりにも繰越しを大きくして仕立てると、着用時に肩山線のやわらかさが出なくなるという意見もあるからです。
結論をいうと、自分の衿抜きに合わせて繰越しを適度に調整するというのがベストでしょう。
繰越揚げと切り繰越について
小紋の場合、基本的には前後の身頃を同じ長さに揃えた肩山に、衿肩あきのための切込みをいれます。
これは、洗い張りで着物を作り直す時に、前後を入れ替えたとしても同じ身丈で仕上げられるようにといった意味があります。
ただし、訪問着や付下げのような絵羽物は前後の入れ替えをすることがないので、はじめから柄を重視して、衿肩あきを切り繰越しの形に切って作ることもあります。
繰越揚げと内揚げについて
今の着物と昔の着物では、繰越揚げと内揚げという点で違いがあります。
内揚げとは、着物を縫い代ギリギリで仕立てずに、身頃に適量の布を縫い込んでおくことをいいます。これは、将来身丈を伸ばすため、裾がすり切れたときに裾を切って整えるためのもので、反物の長さに余裕があれば行うものです。
一方で、昔の着物は用尺が少ないものが多かったり、仕立てる際の簡易さを求めたりすることは多かったので、繰越し揚げしかされていない場合がよくあります。
まとめ
繰越しは、衿肩あきをずらすことと、肩山から衿肩あきまでの距離という2つの意味があります。女性らしい着物の着こなしには重要な意味を持つ用語なので、しっかりと覚えておきましょう。
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