麻の着物とは?特徴や種類についてもご紹介!
麻の着物とは?
麻の着物とは、植物の麻から作られた、裏地が付いていない夏の着物のことです。
麻の着物は、さらりとした肌ざわりが特徴で汗ばむ夏の季節にも快適に着用できる優れものとして重宝されます。
女性用だけでなく男性用もあり、着物や帯に使われているほか、長襦袢や肌着、半衿など和装小物にも麻の素材が使われています。
麻の着物の特徴とは?

・さらりとした肌ざわり
・暑さを感じにくい
・家庭で手洗いができる
・速乾性に優れている
・シワができやすい
麻の着物の種類とは?
麻の着物の生地の種類には、シボという凹凸のある「縮(ちぢみ)」と、細い麻糸で織られたシボの少ない平織りの「上布(じょうふ)」があります。
◇縮(ちぢみ)
縮とは、糸に強い撚り(より)をかけて織ることによって、生地の表面にシボを出す技法のことです。
シボのある縮は、肌にまとわりつかず、さらりとした着心地のため、夏でも涼しく着物を着こなすことができます。
価格は上布(じょうふ)よりも安価で、昨今では仕立てあがった状態の浴衣としても販売されています。
~代表的な麻織物~
・新潟県小千谷市周辺で作られる小千谷縮(おぢやちぢみ)※国の重要無形文化財
・新潟県十日町の明石縮(あかしちぢみ)
・滋賀県の近江縮(おうみちぢみ)
◇上布(じょうふ)
麻の中でも上質な物を上布と呼びます。
麻を細かく裂いて紡ぎ、撚り合わせて織られており、涼しげな感触とさらりとした肌ざわりで通気性にも優れています。
~代表的な麻織物~
・沖縄県宮古島の宮古上布(みやこじょうふ)※国の重要無形文化財
・新潟県の南魚沼市の越後上布(えちごじょうふ)※国の重要無形文化財
・石川県能登地方の能登上布(のとじょうふ)※石川県の無形文化財
・沖縄県八重山郡の八重山上布(やえやまじょうふ)
・滋賀県の近江上布(おうみじょうふ)
麻の着物の選び方&着こなし方ポイント
- 肌質に合ったものを選ぶ
麻の着物は、繊維が硬いため肌に張り付きにくく夏でも涼しいというメリットがありますが、その一方で肌が弱い人には硬さが負担になる可能性もあります。そういった点も踏まえて、表地や帯を麻素材のものにするか、麻の中でも柔らかめの素材を選ぶなど工夫をしましょう。
一般的に知られる麻に用いられる植物にはラミーとリネンがありますが、その他にも小千谷縮や近江縮など産地による違いもあります。特徴を口頭で聞いたり文面で見ることもできますが、肌触りを現物で確かめることがベストでしょう。
- 仕立て方に注意する
麻の着物は基本的に裏地がなく、生地そのものの強度が強いため縫い目部分に負荷がかかりやすいという弱点があります。仕立ての際には、補強と透け防止の観点から「居敷当」という裏地を付けることをおすすめします。また、丈夫で水洗いもできる麻着物ゆえに、洗濯の際に収縮してしまうことも考えて、あらかじめ一分ほど長めに仕立てるのもポイントです。 - 長襦袢で透け防止
涼しさが魅力の麻着物は透けやすいというデメリットもあります。前から見れば透けていなくても後ろから見ると透けている場合もありますし、太陽光の下だと透けてしまうこともあります。それらを防ぐためにも、自分に合ったサイズの長襦袢を着用するのが良いでしょう。
まとめ
麻の着物は自宅でも簡単にお手入れができるため、夏の着物として取り入れてみてはいかがでしょうか。