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比翼仕立て(ひよくじたて)とは?留袖に施すことで礼装に!

着物の豆知識

比翼仕立ての黒留袖を着た女性

比翼仕立て(ひよくじたて)とは?

比翼仕立てとは、とは、二枚の着物を重ねて着ているように見せる仕立て方のことです。比翼仕立ては、留袖(とめそで)の袖口や振り、衿、裾回し部分だけを比翼地という生地を縫い付けて二重に仕立てているのです。

比翼仕立ての留袖とは?

留袖は、「祝いを重ねる」という意味から、本来は白羽二重(しろはぶたえ)の下着を重ねて着ていました。これを比翼重ねといいますが、昨今では簡略化され、付け比翼(つけびよく)を縫い付けることで、二枚の着物を重ねて着ているように見せて仕立てるようになりました。
本振袖も、かつては振袖を二枚重ね着していましたが、現在では比翼仕立てとなっています。

比翼仕立ての留袖に起こりやすいトラブル

比翼仕立ての留袖には共通して起こりやすいトラブルがいくつかあるので、お話ししていきます。

■昔の着物を着ようとしたら比翼が付いていなかった
おばあちゃんやお母さんから代々受け継いできた着物を着るといった機会は、着物ながらのお話だと思います。しかしながら、昔の着物は下着を重ねて比翼なしで着用することも多かったため、比翼仕立てになっていないケースが多いです。そのため、せっかく見つけた歴史のある着物を結婚式で着ることができない…といった事態が結構あるのです。

■表地から比翼がはみ出していた
裾部分から比翼がはみ出しているケースも結構多いトラブルとして挙げられます。その原因として考えられるのは、以下の2つです。

・長期間干し続けていたため比翼が下方向に向かって垂れてしまった
・留袖の表地が正絹で比翼地が化繊に場合に、布の伸縮率が異なることで比翼だけがはみ出てしまった

■比翼部分に変色がある
比翼地部分は白地であるため、経年変化で黄色く変色してしまう黃変染みが起きやすい部分です。

比翼仕立てではない留袖は結婚式で着用してもいいの?

二枚の着物を重ね着することは、「めでたいことを重ねる」という意味も込められており、結婚式などのお祝いの席にふさわしいとされています。 そのため、比翼仕立ての留袖は結婚式で着用する礼装という位置づけで扱われています。

ただ、もし用意した留袖が比翼仕立てになっていない場合には、どのようにすればよいのでしょうか。比翼仕立てなしのままで着用する方もいらっしゃるようですが、これはあまりおすすめできません。なぜなら、比翼仕立てではない留袖ですと、礼装ではなく、訪問着扱いとなり格が落ちてしまうからです。

ご家族やご親族のおめでたい席で、不適切な着物の着方をしてしまった…ということにならないように覚えておきましょう。

まとめ

比翼仕立ての留袖は、結婚式などおめでたい席で着用する礼装として扱うことができます。
ただ、昔の留袖ですと下着を重ねて着用していたため、比翼仕立てになっておりません。そのため、代々受け継いできた留袖は、結婚式には着用できないことも多いため、きちんと確認しておくことが大切です。

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