唐織とは?わかりやすく説明
唐織とは?
唐織とは、袋帯や丸帯に多く用いられる織物で、織物の中でも最高級ともいわれるほど豪華な魅力があります。
唐織は、一般的に綾織地の上に金糸や銀糸といった色鮮やかな色糸を用いて、草花や紋様といった柄を織り出していきます。浮織の技法を用いていることで、まるで刺繍のように色鮮やかな見た目に仕上がります。
唐織の中でも、主な産地である京都の西陣で織られたものを「西陣織」と呼びます。
唐織の特徴とは?
唐織の特徴を以下にまとめます。
・織物表面に糸を浮かせて織り上げることでレリーフのような立体的な紋様を描くことができる
・まるで刺繍のように見えるほどの糸の盛り上がりと立体感
・色彩豊かで重厚な雰囲気を演出できる
・天井が高く広い式場などでも見劣りしない豪華絢爛な花嫁衣装となる
唐織の歴史について
唐織は、中国(唐)から伝わる織物が融合して生まれた絹織物の総称で、装飾性が高い美術織物が始まりでした。とはいえ、唐織物の「唐」の部分は中国から伝わったことではなく、優れたものを意味して付いたものなのです。
室町時代における唐織着物は、将軍やその側近である有力武家のみぞ所有できるものでしたが、後に世阿弥が作った能楽の衣装としても使用されるようになっていきました。
能装束の代表的なものとして挙げられる唐織の装飾は一際豪華で、主に女性役の上着として着用されていました。これが各時代の粋を込められた浮織にて作られてきたのです。
伝統技術はその後も受け継がれ、そこに新たな刺繍の趣もプラスされたことで、現代における花嫁衣装としての唐織に行き着きました。
唐織の制作過程とは?
唐織は、先染めした糸を用いて絵柄を織り上げていくもので、その作業工程は20以上もあるそうです。それぞれの工程を専門の職人によって分業し、織り上げていく唐織。その制作過程の一部分についてご紹介します。
1.紋意匠図(もんいしょうず)
織物の設計図にあたるのが紋意匠図です。拡大した図案を方眼紙に写し取り、絵柄を描くための組織や配色をイメージし、細かく色を塗り分けていきます。この際、方眼紙の1マス分が経糸と緯糸にあたるので、膨大な作業となる部分です。
2.紋彫
経糸を上下させながら緯糸を通していくのが織物の技法ですが、経糸を上下させるための指令を出す紋紙というものを元に、経糸を上げる所に穴をあけていきます。紋紙は、短冊方の紙で、紋意匠図を一コマずつ読み取っていきます。
3.糸繰
撚り糸を精錬し、色見本に合わせて染め上げます。経糸と緯糸をそれぞれ糸枠に巻き取っていく作業を糸繰といいます。緯糸の場合は、さらに棒状の管に巻き取ったあと、杼(ひ)という道具に取り付けて、絵柄に必要な色と数を用意しなければなりません。
4.製織
経糸を上下させる装置(綜絖=そうこう)に糸を通し、織り機に経糸を掛け、杼(ひ)を往復させながら緯糸を織り上げていきます。
まとめ
いかがでしたか?着物はものによって高価過ぎて驚くときもありますが、唐織のように専門の職人によって膨大な時間と手間をかけて織られている作業を思うと、納得ですよね。今後着物に触れる機会があれば、ぜひそんな部分も思い浮かべながら色柄など眺めてみて下さいね。
#唐織

きものレンタリエ編集部では、着物用語の基礎や結婚式・お宮参り・七五三・成人式・卒業式・初節句などの情報などを着物知識豊富なメンバーが様々なコンテンツにて配信しております。
メールマガジン、Youtube、X(旧Twitter)、Instagram、LINE@でも情報を配信しております!
ぜひそちらもチェックしてみてください!!