卒業式の袴は先生も着用できる?覚えておきたいマナーと選び方のポイント
卒業式の袴姿は、先生が生徒を送り出す門出にふさわしい装いとして学校にも認められています。卒業式には袴姿でと思う先生は多いようですが、いざとなると何を基準に選べばいいのか、どんな点に注意すればいいのかわからないと、悩むケースが多いようです。
そこで今回は、卒業式に先生方が袴を着用する場合の基本マナーや、着物と袴の選び方などを紹介します。

卒業式に先生が袴を着用してもいい?

卒業式の装いとして人気の高い袴は、生徒だけでなく先生が着用しても問題はありません。
先生の袴姿は卒業生の門出を祝うのにふさわしい装いとして、昔から多くの学校で認められています。
卒業式で先生が袴を着用する歴史的背景
卒業式で先生が袴を着用するのには、袴の歴史が深く関係しています。
もともと袴は男性用の礼服でした。
平安時代には宮廷に使える女官が身に着けるようになり、身分の高い女性の装いとして定着。
明治時代に入ると袴を女学校の女性教師が着用するようになり、美しいだけでなく、動きやすくて機能性の高い服装として、女学校の制服に採用されたため、生徒も着用するようになりました。
こうした歴史的な背景から、袴は学校と縁の深い衣装となりました。そのため現在でも、袴は学校の卒業式にふさわしい服装の一つとして、先生方に選ばれています。
卒業式に袴を着用するなら学校側に確認を
しかし、卒業式には学校の校風や地域の慣習など、独自のルールが存在することもあります。
卒業式に袴を着用したいと考えている場合には、事前に問題がないか、学校側に確認しておくことが大切です。
卒業式に袴で出席しても問題がないとわかったら、今度は周囲の先生方に相談したり、過去の卒業式の写真を参考にするなど、どんな袴姿なら問題ないかを確認しましょう。
卒業式に先生が袴を着用する場合の基本マナー
初めて卒業式で袴を着用する場合、どんな点に注意すればよいかの基本マナーを紹介します。
主役は卒業生、先生は控えめな装いを

卒業式は先生方にとって、生徒の成長を実感できる感慨深い式典です。生徒たちを祝福する気持ちが伝わる華やかな服装で卒業式に臨みたいと考える方は多いと思います。
しかし、卒業式の主役は卒業生です。主役の卒業生より派手になってしまわないよう、また、卒業式という厳かな雰囲気にふさわしいような服装をすることが大切です。

先生らしい落ち着きと、生徒の門出を祝うハレの日の華やかさとのバランスを考えて、袴と着物を選びましょう。
着物の色は落ち着いたトーンのものを選び、柄は大きく派手なものよりも繊細で上品な雰囲気のものを選ぶのがオススメです。
袴は無地や単色が基本です。グラデーションや刺繍入りの袴を合わせる場合は、落ち着きのあるトーンのものを選ぶと、上品にまとまるでしょう。
華美よりも優美な装いを心がけるといいでしょう。
卒業式の先生の袴は行灯袴が一般的

袴には、行灯袴(あんどんばかま)と馬乗り袴(うまのりはかま)の2種類があります。
行灯袴は、スカートのように足が分かれていないタイプの袴で、裾がふんわりと広がるため上品なシルエットになるのが特徴です。
着崩れもしにくいため、卒業式の定番スタイルとなっています。

もう一つの馬乗り袴は、脚が二股に分かれたタイプで動きやすく、弓道などの武道で使われるのが一般的です。
先生の袴の色は、紺色、深緑、グレー、えんじ、紫などの深くて濃い色を選ぶことで、品よく落ち着いた印象となります。
とはいえ、黒一色やグレー一色などの地味すぎる色は、お祝いの雰囲気にそぐわないため避けたほうがよいでしょう。
また、ビビッドカラーのような鮮やかすぎる色や白などの主役感のある色は、卒業生より目立ってしまう可能性があるため、控えたほうが無難です。
無地の袴だけでなく、桜、菊、松竹梅などの古典柄が裾だけに控えめに入ったものや、同系色のぼかしがさりげなく入ったものでもかまいませんが、多色遣いや派手すぎる大柄、カジュアルな柄は厳かな雰囲気を損ねる可能性があり、先生としては不向きです。
袴と着物の色柄が調和することを意識して選ぶこともお忘れなく。
学校での立場に合わせた着物を選ぶ
卒業式の袴には、正礼装~準礼装にあたる着物を合わせます。
「色留袖」「訪問着」「色無地」「小振袖(二尺丈)」などの着物を合わせるのが一般的です。
また、身に着ける着物の格式は先生の立場によって変わります。
校長先生は正礼装、教頭先生は準礼装が主流となるため、クラス担任などの先生方が着物を選ぶ際には、目上の立場の先生よりも格が高くならないように注意が必要です。
例えば、校長先生、教頭先生が紋付きの色留袖であれば、担任の先生は一つ紋の色無地、無紋の訪問着などがいいでしょう。
自分の立場を考慮したうえで、卒業式にふさわしい格式を意識することが必要です。
さらに、卒業式での先生の袴の着こなしは、地域や学校によって異なる可能性があります。
実際に着用する袴と着物を決めるときには、事前に先輩の先生方に相談したり、過去の卒業式の写真を参考にするなど、事前に確認してから選ぶことをオススメします。
未婚か既婚かによっても着物は異なる
卒業式で袴に合わせる着物は、着用する先生が未婚か既婚かによっても異なります。
例えば、卒業式に生徒が着用している二尺袖(小振袖)は、未婚の方が着る振袖の一種ですから、既婚の先生が着用するのは避けたほうがよいでしょう。
未婚の先生であれば、二尺袖(小振袖)の着物を袴に合わせても問題はありません。
既婚の先生の場合は、落ち着いた雰囲気となる色無地や訪問着を袴に合わせるのが良いでしょう。
小物のコーディネートは礼装ルールを守る
袴を礼装として着用する場合、長襦袢や半衿、重ね衿といった小物類、足元のコーディネートにも決まったルールがあります。
長襦袢にも淡い色のついたものなどさまざまな種類がありますが、礼装の場合には白無地の長襦袢に正絹の白い半衿を付けて使用するのがルールです。
重ね衿は着物の色に合わせてコーディネートしますが、先生の礼装としてはあまり派手な印象にならない、控えめなものを選びましょう。
紋の入った色無地を着用する場合には、重ね衿は格調高い白にして格調高く装うと良いでしょう。
足元はフォーマル用の草履を合わせます。袴にブーツというコーディネートも見かけますが、卒業式の先生の礼装としては草履がふさわしいといえるでしょう。
草履の場合には必ず足袋を履きますが、色・柄や刺繍の入ったものではなく、白足袋を合わせるのが基本です。
お辞儀をしても崩れないヘアスタイルを
卒業式の袴姿に合わせるヘアスタイルは、華美な印象にならない、シンプルで控えめな髪型を心がけましょう。
ロングヘアの場合は、すっきりとした清潔感のあるアップスタイルがおすすめです。
髪飾りも派手なものや大ぶりなものなど目立ち過ぎるものは避けて、清楚な印象のものを選ぶようにしましょう。
卒業式ではお辞儀をする機会が多いため、その度に直さなくてもすむ髪型にしておくことが大切です。
また、卒業式の服装と同様に、髪型も学校の校風や地域ごとの慣習が関係することもあるため、周囲の経験豊富な先生にNGなヘアスタイルについて事前に確認しておくと安心です。
立ち居振る舞いにも注意が必要
卒業式では、袴を着用した先生の立ち居振る舞いにも、生徒や親御さんからの注目が集まります。卒業式にふさわしい品格を感じられる立ち居振る舞いを意識しましょう。
袴を着用すると洋服のときよりも足元の動きが制限されるため、歩くときには小幅でゆっくりと歩くことがポイントです。
座るときには袴の裾を軽く持ち上げて整えながら座ると、シワを防ぐことができます。座ったあとも背筋を伸ばし、美しい姿勢を保つように心がけましょう。
学校の場合、階段を上り下りすることも多いと思いますが、袴の裾を踏まないように十分注意して。
着慣れないため動きにくいと思いますが、慌てずに、ひとつひとつの所作を丁寧に行うことを心がけることで、卒業式にふさわしい立ち居振る舞いとなります。
卒業式の先生にふさわしい袴と着物の選び方
卒業式で先生方が着用する着物は、「色無地」「訪問着」「小振袖」が一般的です。
しかし、その3種類の着物から好きなものを選べるというわけではありません。
前述した通り、着物はそれぞれの着物の格、自分の立場、TPOに合わせて選ぶことが大切になりますから、ここでは着物選びのポイントや袴の合わせ方について紹介します。
ただし、卒業式での袴の着こなしは地域や学校によって異なりますので、あくまでも一般的な例として参考にしてくださいね。
先生の基本スタイル「色無地(一つ紋)×袴」
柄が入っていない黒以外に染められた無地の着物を「色無地」といいます。
この色無地は未婚・既婚、年代を問わず、幅広い場面で着ることのできる非常に使い勝手のよい着物です。
色無地と袴の組み合わせは、先生方が卒業式で着られる着物の中では最も基本的なスタイルです。
柄が入っていないためすっきりとした見た目になり、単色でシンプルな袴と合わせると、凛々しい印象となります。
厳かな卒業式にもふさわしい着こなしになるので、保護者の方から見られても好印象で、多くの先生方がこの「色無地」袴スタイルを選ばれます。
袴は色無地と同系色の濃淡の組み合わせにすると落ち着いた雰囲気の装いになります。
また、色無地と反対色を選ぶと、溌剌とした印象の愛らしい雰囲気になります。
格調高いスタイル「訪問着×袴」
訪問着は、未婚・既婚、年齢を問わずに着用できる略礼装の着物で、着こなし方によっては準礼装にもなるため、幅広い用途に着用することができます。
肩から胸や袖にかけて、縫い目をまたがってひとつの絵のように描かれた絵羽模様が特徴で、格調高い着こなしを目指す方におすすめです。
華やかなものからシンプルなものまで色柄の幅が広いため、上品な色合いや繊細な柄のものを選ぶと、卒業式の装いとしても最適です。
訪問着の場合、裾の方の模様は袴を履くと隠れてしまうため上半身の柄選びがポイント。
訪問着の地色と同系色の袴を選ぶと、上品で洗練された印象の着こなしになります。やさしい色味の訪問着を選んで、同系色の袴を合わせると優美でやわらかい印象に。
訪問着の地色と反対色の袴を合わせることでモダンな印象になったり、凛とした装いになります。
華やかなスタイル「小振袖×袴」
小振袖は他の着物にはない華やかさと、振袖の中ではもっとも袖が短いため動きやすいのが魅力です。
未婚の先生も着用することはできますが、卒業生が卒業式に袴とともに着用する着物というイメージがあるため、厳かな式典の先生の服装としてはNGという可能性もあります。
卒業式で先生が着用する場合には、事前に学校に確認したほうがよいでしょう。
前述したように卒業式の主役はあくまでも生徒ですから、見送る側の先生方は派手すぎない色柄の小振袖を選ぶことが大切です。落ち着いたトーンの地色を選び、ビビットな色や彩度の高すぎる色は避けたほうがよいでしょう。
小花などの繊細な柄や、格調高い古典柄などを選ぶと式典らしい装いになります。
カジュアルな印象の柄や、金・銀糸を使った刺繍や金彩加工が施された華美なものは避けけたほうが無難です。
小振袖に合わせる袴の色も、小振袖同様に落ち着いたトーンの色がおすすめです。
定番カラーといわれる紺色や黒、緑などがオススメです。
袴の柄は着物の柄を引き立てるような無地のものや、グラデーションなどを合わせると、すっきりとしたコーディネートに。柄入りのものでも、シンプルなものやささやかな描き方がされている柄を選ぶのがポイントです。
先生が卒業式に袴を着用する際の注意ポイント
卒業式に出席される先生方は生徒とは異なり、式典だけで終わるわけではありません。
式の準備から終わった後の片付け、通常の仕事など、式典当日もやらなければならないことが数多くあります。そんな先生の活動面から見た、袴着用時の注意点を紹介します。
・袴レンタルは早めに予約
・着付けやヘアセットは早めに予約
・底冷えする会場での防寒対策
・室内用の履物を持参
・卒業式後も仕事なら着替えを持参
袴レンタルは早めに予約
卒業生を担任している先生にとって、卒業式までの数ヶ月は自分の時間もないほど忙しい時期のため、自分のことはどうしても後回しになりがちです。
卒業式ギリギリになって慌てて袴や着物をレンタルしようと思っても、好みのものはどれもレンタル済みになってしまった、ようやく予約できたと思ったら袴の色や柄が他の先生と被ってしまっていたなど、もっと周囲とも相談しながら、じっくり選んでおけばよかったと後悔することになりがちです。
忙しさがピークを迎える前に、早めに自分の袴選びをしておくことが大切です。
着付けやヘアセットは早めに予約
先生方の中には袴のレンタルが完了したことでホッとしてしまう方がいますが、衣装のレンタルよりも早めの予約が必要といわれているのが、着付けやヘアメイクなどの美容室の予約です。
卒業式の日程は近隣の学校と同日の場合も多いため、出遅れると、近隣の美容室はすでに予約が取れないということになりがちです。
卒業時に袴を着用するためには、袴レンタルだけでなく、美容室の予約も早めに動くことが鉄則です。
また、どんな髪型にしたいかを決めていなかったり、着付けに必要な小物類を事前に確認していなかったなどの理由で、着付けやヘアセットの仕度に手間取るケースも多いよう。
そうならないためにも、届いたレンタル衣装のセット内容を美容室の方にも確認してもらう、必要なものやヘアアレンジの相談なども、事前にしておくことが大切です。
底冷えする会場での防寒対策も必要
卒業式が行われる3月の半ばから後半にかけては、まだまだ寒さが残る時期といえます。
卒業式が行われる体育館は底冷えするため、暖房器具があったとしても、その近く以外では寒さが身に染みることがあるかもしれません。
そのため、防寒対策はしっかりとしておくことが大切です。
当日の気温や体調に合わせて、着物の下に防寒用インナーを着ることも考えておくといいでしょう。
インナーを着る場合には、着物の衿や袖口からインナーが覗きにくいデザインのものを選ぶのがポイント。
足元を防寒対策する場合は、レギンスやボトムインナーを利用しましょう。
レギンスなどを着用する場合には、肌色のもので、袴から見えないように丈が短めのタイプを選んでおくと良いでしょう。
室内用の履物を持参
卒業式の会場は、体育館などの室内という場合が大半だと思いますが、その場合、履物は室内用のものに履き替える必要があります。
学校にもよると思いますが、屋外で履いていた草履をそのまま室内で履けるとは限らないので、屋内用の履物は事前に用意しておくとよいでしょう。
出来れば、足袋でも脱ぎ履きのしやすいスリッパを準備しておくと安心です。
卒業式後も仕事なら着替えを持参
卒業生の担任の場合、式典が終わった後も会場の片付けや、他の仕事も残っているというケースが多いようです。
袴姿のままだと動きづらいうえ、着崩れする、汚してしまうリスクも高くなってしまうため、卒業式が終わったら着替えられるように、着替えの洋服を持って行くことをオススメします。
まとめ
卒業式に先生が袴を着用することは、式典を格調高く華やかに彩ることとして、学校側にも認められていることがほとんどです。
実際に袴を着用する際には、学校の校風や自分の立場に合った袴や着物を選び、主役の卒業生を引き立てるような、控えめで上品な装いをすることが大切です。
また、袴レンタルだけでなく、着付けやヘアセットの予約、寒さ対策など、事前の準備もしっかりしておくことで、当日は晴れやかな気持ちで卒業生を送り出すことが出来るのではないでしょうか。
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