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「初正月」とは?知っておきたい基本的な知識とマナー

初節句,着物の豆知識

破魔矢と羽子板で初正月で寝相アートを撮る赤ちゃん

「初正月」とは赤ちゃんが生まれて初めて迎えるお正月のこと。
伝統的な日本の風習のひとつで、「初正月」には男の子なら破魔弓や破魔矢を、女の子なら羽子板を室内に飾ります。
現在では、なんとなく聞いたことはあるけれど具体的には知らないという方も多いため、今回は「初正月」の基本的な知識やマナーについてご紹介します。

「初正月」とは?

「初正月」とは、赤ちゃんが生まれて初めて迎えるお正月のことです。

現在、年齢を数えるときには満年齢が当たり前ですが、昭和24年頃までは数え年で歳を数えるのが一般的でした。数え年とは生まれた日を1歳として、元旦(1月1日)で1歳増えるという数え方のこと。

そのため、生まれて初めてお正月を迎える「初正月」は、赤ちゃんにとっては初めて歳を重ねる日にもなるため、特別なお正月という位置づけになっていました。

また、医療が未発達で栄養も乏しかった昔は、子どもが生まれても無事に大人になるのは難しかったため、親は子どもが無事に成長することを願い、初めて迎えるお正月を盛大にお祝いしたのだそうです。

「初正月」に行うこととは?

初正月の風習として、男の子の場合は「破魔弓」「破魔矢」女の子の場合は「羽子板」室内に飾ります。

男の子なら「破魔弓」「破魔矢」を飾る

破魔矢

男の子の初正月には、「健やかに強くたくましく育ってほしい」という願いと、魔除けや厄除けの意味を込めて、「破魔弓」「破魔矢」を室内に飾ります。

弓矢で的を射る儀式で使用する矢を「ハマ矢」、弓を「ハマ弓」、的のことを「ハマ」と呼ぶことから、そこに悪魔を破り祓うという意味の文字を組み合わせて「破魔(ハマ)」と表すようになりました。

また、破魔矢の矢には「無患子(むくろじ)」という落葉高木の種に鳥の羽がつけられていて、「子が患わ無い」と書くことから無病息災のお守りという意味もあるのだそうです。

もともとは戦国時代の武家の風習でしたが、江戸時代には庶民にも広がり現代にまで続いています。

女の子なら「羽子板」を飾る

羽子板を持つ女の子

女の子の初正月には「無病息災」のお守りとして「羽子板」を飾ります。

羽子板は奈良時代に宮中で行われていた「毬杖(ぎっちょう)」という女の子の遊びや、室町時代に中国より伝わった、羽根に硬貨をつけたものを蹴る遊びが起源ではないかといわれています。

「毬杖」は小槌のような形をした杖で木製の毬を打ち合う遊びで、この杖が時代とともに変化していき、やがて羽子板のような形になりました。

江戸時代になると羽子板で羽根のついた玉を打ち合う遊びとして人気となり、お正月の風物詩に。羽子板で「魔をはね(羽根)のける」という意味から、魔除けの願いを込めた縁起物とされています。

やがて羽子板は正月飾り用として豪華なものに変化していき、歌舞伎や能狂言などをデザインしたものが人気になるなど、いまではさまざまなデザインのものが揃っています。

産着や被布着で寝相アートを撮影

黒の祝い着で初正月の寝相アートを撮る男の子

初正月に着用する特別な晴れ着はありませんが、お宮参りの産着や、初節句に着用した(これから着用する予定)の被布着を利用して、お正月らしい服装をしてみるのもオススメです。

実際、羽子板や破魔弓・破魔矢をバックに、産着や被布着姿の記念写真や寝相アートを撮影されるご家庭も多いようです。お祝いをいただいた祖父母や親戚へのお礼状などに添えると、喜んでもらえるのではないでしょうか。

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産着はレンタルだった、初節句は被布を着なかったという場合なら、お宮参りの時とは異なる色柄の産着をレンタルしたり、七五三の衣裳をレンタルして利用してみるのもいいでしょう。

羽子板や破魔矢・破魔弓を飾る期間とは?

12月のカレンダー

12月中旬頃から遅くても12月28日までには飾り付けましょう。

お正月飾りと同じで、12月31日に飾るのはNG。
「一夜飾り」といって、「新年に歳神様(としがみさま)をお迎えする直前に、慌てて飾り付けをすることは神様に対して失礼」になり、縁起が悪いとされているため。

さらに12月30日は旧暦の大晦日にあたるため12月30日も旧暦の一夜飾りになること、12月29日は9=苦をイメージさせるため縁起が悪いことから、避けるのが一般的です。

飾る期間は、翌年の小正月(1月14日~16日)までが目安です。

ただし、破魔弓・破魔矢、羽子板は年中飾ることのできる縁起物でもあるため、そのまま一年中飾り続けても問題はありません

お正月だけでなく、破魔弓・破魔矢は端午の節句に、羽子板は桃の節句にも飾ることができます。

破魔弓・破魔矢や羽子板は誰がいつ贈るもの?

家族

「初正月」のお祝いは節句に贈る人形などと同じで、母方の実家が贈るケースが一般的とされていました。

しかし最近では、パパ・ママが自分たちで用意したり、母方の実家に限定することなく、父方の実家が贈ったり、パパ・ママ双方の実家で折半するケースなどが増えています。

「初正月」のお祝いを贈る時期については、前年の12月中旬以降が良いとされています。

昔は12月13日を正月事始めと呼び、この日に門松やしめ縄などを用意したり、羽子板や破魔弓などを飾ったりと、お正月の準備を始めるものとされていました。
そのため12月中旬までに贈るケースが多かったようですが、最近はクリスマスが終わってから飾る方が多いため、それまでには贈っておくとよいでしょう。

「初正月」のお返しはどうする?

「初正月」に破魔弓・破魔矢、羽子板などのお祝いをいただいた場合、そのほとんどが身内からのため、お返しは必要ないといわれています。

しかし、祖父母とはいえ何もお返ししないのは気が引ける場合や、親戚や友人などから思いがけずお祝いをいただくこともあるかもしれません。

祖父母や親戚の場合は、破魔弓や羽子板と一緒に撮影した赤ちゃんとの記念写真や寝相アートを添えて、お礼状を送るのがオススメです。

友人には「内祝い」という形で送ってもいいでしょう。
目安としては、いただいた物の半分〜1/3程度の額のものをお返しします。金額がわからない場合は、1万円前後の物をいただいたと想定してお返しを選ぶといいでしょう。

内祝いを贈る場合ののし紙は、紅白の花結び(蝶結び)の水引を選び、表書きには「内祝」、水引の結び目の下部分には「赤ちゃんの名前」を書くのがマナーとなります。

まとめ

「初正月」は名前の通り、赤ちゃんにとっての初めてのお正月です。

赤ちゃんが健やかに新しい歳を迎えられるよう「無病息災のお守り」として、ぜひ、羽子板や破魔弓・破魔矢を飾ってみてはいかがでしょうか。

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