お宮参りのマナー 昔と今ではどう違う?注意が必要なこととは
お宮参りのマナーは昔と今ではかなり異なり、両親が自由に決められる部分が増えました。
しかし、初めてのお宮参りでは、マナーが昔と今ではどう違うのかわからない、どっちを参考にすればいいの?と悩むケースも多いでしょう。
そこで、昔のお宮参りのしきたりと、いまのお宮参りのマナーを紹介します。
伝統を守るのか、自分たちの都合で行うのかは、地域やご家庭によっても違うと思いますので、まずは家族で話し合うきっかけとして参考にしてくださいね。

お宮参りはいつ行くもの?

赤ちゃんが無事に生まれたことへの感謝と、これから健やかに育つことを祈願するお宮参り。いったい、いつ行くものなのでしょうか。
昔は生後31日から32日が目安に
地域によって異なりますが、男の子なら赤ちゃんが産まれた日から数えて31日目か32日目に、女の子なら32日目か33日目に神社に参拝するのが一般的といわれています。
ただし、青森県では男の子は生後120日、女の子は生後110日に、山形県の一部では男女ともに生後51日など、いつお宮参りをするかは地域によってもかなり異なります。
今は生後100日以内に行くのが主流
最近は出産したばかりのママや赤ちゃんの体調、気候や天候、感染症の状況なども考慮して、日程を決めるのが主流となっています。
次の行事であるお食い初め(100日祝い)がひとつの目安になっており、それまでにはお宮参りを行うか、お宮参りとお食い初めを一緒に祝うというケースも増えているようです。
お宮参りで参拝する神社は?

お宮参りでご祈祷していただく神社は、どこに行くのが正解なのでしょうか。
昔は氏神様や産土神様に参拝
お宮参りとは、氏神様や産土神(うぶすながみ)様を参拝するのがしきたりといわれてきました。
こういわれてもピンとこない方が多いかもしれません。また、氏神様と産土神様はどう違うのかと疑問に思う方もいるでしょう。
元来、氏神様とは同じ氏族(血縁的な関係のある一族)が共同で祀った祖先神や守護神のことで、産土神様は生まれ育った土地の守護神のことをいいます。
しかし、時代の流れとともに同じ意味に使われるようになったため、どちらも自分たちの生まれた土地や住んでいる地域を守護してくれる神様と考えるといいでしょう。
今は好きな神社やお寺でOK
最近のパパやママは、生まれ育った地域に住んでいない方や、仕事の都合で同じ地域に長く住んでいられない方も多く、産土神様や氏神様に参拝するのは難しくなってきました。
そのため、パパやママに所縁がある場所や、お子さんを連れて参拝してみたいなど、好きな神社に参拝する方が増えています。
また、お寺への参拝でも問題はありません。
全国的に名の知れたお寺や大きなお寺などでは、「初参り」や「お礼参り」という呼び名でご祈祷していただくことができます。
お宮参りにはご祈祷が必要か?

お宮参りでのメインイベントでもある「ご祈祷」に対する考え方も、昔と今では変わってきているようです。
昔はご祈祷していただくのが基本
昔のお宮参りでは、氏神様や産土神様などのゆかりのある神社で、必ずご祈祷していただくのがしきたりでした。
今は参拝だけですませるご家庭も
現在のお宮参りでは、ご祈祷は受けずに、本殿の外から手を合わせて参拝するだけですませるご家庭もあるようです。
赤ちゃんやママの体調で長時間の外出が不安な場合など、参拝だけですませるご家庭は前からありましたが、コロナが流行ったことで、できれば短時間に密にならないところでお宮参りをすませたいと考える方が増えたようです。
お宮参りの初穂料(祈祷料・玉串料)は?

神社でご祈祷していただく場合、必ず必要になるのが初穂料(玉串料)です。
昔は神社によって金額は異なっていた
昔の初穂料(祈祷料・玉串料)は神社により異なっており、神社によっては「お気持で」と明確に金額が決まっていない場合がありました。
そのため、その家や地域で受け継がれてきた金額を収めることが多かったようです。
また、昔のお宮参りは父親と父方の祖父母が参拝するしきたりだったため、初穂料は父方の祖父母が用意するのが一般的でした。
納める場合には、必ず水引のついたのし袋に入れてお渡しするのがマナーです。
今は金額が決まっているところがほとんど
現在の初穂料(祈祷料・玉串料)の相場は5,000円~15,000円くらいといわれていますが、最近は公開している神社がほとんどのため、事前に公式サイト等から確認しておくのが一般的です。
誰が払うかについてはとくに決まりはなく、実際にご祈祷を受けるパパやママが準備することが多いようです。
祖父母が一緒の場合は、初穂料を支払いたいと申し出てもらえることもあり、父方母方にこだわることなく、祖父母のお祝いの気持ちとして支払ってもらってもいいでしょう。
初穂料はのし袋に入れると説明しましたが、現在では受付で直接料金を納める神社もあるので、この点についても事前に確認をしておくことをオススメします。
お宮参りの参加者は?

お宮参りの参加者についても、今と昔では大きく変わりました。
昔は赤ちゃん、父親、父方の祖父母
お宮参りの参加者は伝統的なしきたりに則った場合、赤ちゃん、父親、父方の祖父母となります。
昔のお宮参りは、父方の家族による行事と考える地域が多かったこと、母親は産後の穢がまだ明けていないため神社に立ち入ることが出来ず、お宮参りには参加できませんでした。
今は赤ちゃんとパパ・ママだけのことも
今のお宮参りの参加者は、赤ちゃん、父親、母親、父方祖父母、母方祖父母が一般的で、中には、赤ちゃんのきょうだいや、叔父、叔母などが参加することも。
昔と違って、お宮参りは家族のイベントですから母親の参加は当然であり、それに伴って父方の祖父母だけでなく母方の祖父母も参加するようになりました。
また、祖父母が遠方に住んでいるためお宮参りには参加しにくいというご家庭も増え、赤ちゃんと両親だけでお宮参りを行うご家庭も増えています。
お宮参りで赤ちゃんを抱っこするのは誰?

昔は、お宮参りでご祈祷していただくときに、誰が赤ちゃんを抱っこするのかも決まっていました。
昔は父方の祖母が赤ちゃんを抱っこしていた
前述した通り、昔のお宮参りは赤ちゃんの父方の実家が主催する行事でした。参加者も父親、父方の祖父母ですから、必然的に父方の祖母が赤ちゃんを抱くものとなっていました。
実は現在でも、このしきたりに則ってお宮参りを行う地域は案外多いので、注意しましょう。
今は交代で抱くなど誰でも抱っこが可能に
今のお宮参りでは、ご祈祷の時も、記念撮影の時などでも、母親が赤ちゃんを抱くケースが多いようですが、母親が疲れたら父親が抱く、両家の祖母が抱くなど、誰が抱くかよりも母親の体調を考慮して、交代で赤ちゃんを抱くことも多いようです。
昔のお宮参りでも、出産したばかりで穢れがあるから母親を参加させないというだけでなく、母親の体調を考慮して、お宮参りに参加しなくてもすむように配慮した結果が父方だけのお宮参りになったという話もあります。
まずは、出産したばかりの母親を思いやることが大切です。
また、記念撮影のときには母親だけでなく、両家の祖母がそれぞれ赤ちゃんを抱っこしている写真を撮影するなど、希望にあわせて何パターンか撮影することをオススメします。
お宮参りの服装のマナーは?

お宮参りは赤ちゃんの無事と成長を伝統儀式ですから、主役の赤ちゃんはもちろん、参加する家族も礼服(フォーマル)であることがマナーとなります。
昔は正礼装の着物が基本
昔のお宮参りは冠婚葬祭に匹敵する行事と考えられていました。
そのため、赤ちゃんも家族も正礼装(最高格のフォーマル)の着物を着るのが当たり前でした。
・赤ちゃんは白羽二重の内着に祝着を掛けた産着
・家族は女性なら五つ紋の黒留袖、男性なら黒紋付に羽織袴
少なくはなりましたが、今でもお宮参りは黒紋付五つ紋で行う地域もあるようです。
今は略礼装の着物や洋装も
今のお宮参りは家族のイベントという意味が強いため、正礼装(最高格のフォーマル)よりも、少し控えめな略礼装の着物を身につけるご家庭が増えました。
また、動きやすくて体への負担が少ない洋装を選ぶ方も増えています。
・赤ちゃんは白羽二重の代わりにベビードレスを着て、その上から祝い着を羽織ります。
洋装なら純白のセレモニードレスが人気です。
・母親は着物なら訪問着や付下げなどの略礼装の着物が主流。
洋装の場合は控えめな色のセミフォーマル向けのワンピースまたはツーピース
・祖母は着物なら訪問着や一つ紋付きの色無地や一つ紋江戸小紋などの略礼装
但し、しきたり通りに赤ちゃんを抱っこするなら色留袖(地域によっては黒留袖も)
洋装は控えめな色のセミフォーマル向けワンピースまたはツーピース
・父親や祖父は着物なら色無地の着物に羽織(袴はなくても大丈夫)
洋装なら、略礼装となるタークスーツやビジネススーツを身に着ける方が一般的です。
お宮参りの一日の流れとは?

お宮参り当日は、神社への参拝以外にどんなことを行えばいいのでしょうか。一日の流れも、昔と今では違うようです。
昔の参拝後は近隣や親族に挨拶まわりも
昔のお宮参りでは、参拝したあとに近所の人や親族に赤ちゃんの顔見世をすることが必要でした。そのため、挨拶まわりをするのがしきたりとなっていました。
神社でご祈祷を受けます。
↓
近隣や親族などに挨拶まわりをします。
↓
家族や親族と祝いの膳を囲みます。
今の参拝後は記念撮影に食事会を行う
現在のお宮参りでは、挨拶まわりをすることは少なく、その代わりに写真付きのはがきやメールなどを送るケースが多いようです。
神社でご祈祷を受けるかお詣りをすませます。
↓
写真館や写真スタジオで記念撮影を行います。
↓
レストランや料亭などで家族で食事会をします。
お宮参りの悩みの違いとは?
今も昔もお宮参りに対しての悩みは尽きないようですが、その内容はかなり異なるようです。
昔はローカルルールに振り回されることも
昔のお宮参りでは父親母親の出番はなく、それぞれのご実家が用意してくれるものでした。
そのため、父親母親が悩むというより、祖父母が悩まれることが多かったようです。
その最たるものがローカルルール。地域ごとに異なるお宮参りのしきたりです。
例えば、お宮参りをする際の地域の一例を挙げると
北陸地方では、父方の親族もお宮参りに参加する地域があります。
甲信越地方では、隣人などの近所の方たちを含めた奇数の人数が付き添って参拝します。
中部地方では、結婚式の仲人が付き添う地域も。
近畿・中部の一部では、家族での参拝・祈祷が終わったら、親戚や近隣に挨拶まわりを行うそう。
では、同じ地域での結婚ならば安心かといえば、そんなことはありません。同じ県内でも北と南ではしきたりが違うことはザラですし、隣の町なのに参拝の仕方や祝い方が違うことも。
そのため、違う地域からお嫁に来た場合などは、母親や母親側のご実家はローカルルールに合わせることに心を砕いたことは想像に難くありません。
今は授乳やおむつ替えなど赤ちゃんのケアが問題に
お宮参りが家族のイベントとなったいまでは、一番の心配事は赤ちゃんのケアでしょう。
昔は氏神様や産土神様など、地域の神社に参拝した後は実家での食事会となっていたため、短時間の外出で済んだお宮参りですが、いまは遠方の神社に参拝、さらに料亭やレストランでの食事会と、長時間、赤ちゃんを連れての外出となります。
そのため授乳やおむつ替え、暑さ・寒さ対策など準備するものが多いうえ、荷物が多くなりがちなのも悩みの種ではないでしょうか。
また、昔は実家が手配してくれたことを、すべてパパとママが準備することになります。
自分たちで自由に決められますが、誰に参列してもらうのか、どこに参拝に行くのか、晴れ着の準備、記念撮影や食事会の手配など、決めなければならないことが山積みのため、それを負担に感じる場合もあるようです。
どちらのマナーで行う場合でも注意したいこと
お宮参りを昔ながらのしきたり通りに行う場合も、いまどきのマナーを意識しながらも自分たちの都合に合わせて行う場合も、必ず注意してほしい点があります。
お宮参りのマナーは地域によって違う
お宮参りの昔と今のマナーを紹介してきましたが、本来、お宮参りはその地域に伝えられてきたしきたりを大切にした伝統行事です。
ここまで紹介してきたことはあくまで一般的な例であり、悩みのところで前述した通り、日本全国どこへ行っても同じしきたり、同じマナーというわけではありません。
地域によっては一般例とはかけ離れたローカルルールが残っているところも、実はまだまだたくさんあります。
現在、パパ・ママが住んでいる地域だけでなく、両家のご実家がある地域によっては、伝統的なお宮参りを大切にしている場合もあり、昔ながらのお宮参りをして欲しいと祖父母に言われる可能性もあります。
また、自分たちが知らないだけで、住んでいる地域にもお宮参りのローカルルールがあるかもしれません。
ネットで情報収集するだけでなく、祖父母や近隣の方に聞いてみるなど、地域のしきたりも確認しておきましょう。
両家の祖父母も含めて事前に打ち合わせを

核家族が多く、祖父母は遠方に住んでいるケースが多い最近は、お宮参りは赤ちゃんと両親の行事のように捉えがちですが、孫のお宮参りを楽しみにしている祖父母も多いものです。
パパやママとしては自分たちで決めたことに祖父母が従ってくれるものと考えがちですが、それぞれの祖父母にも孫のお宮参りへの希望や想い入れはあるものです。
また、両家の祖父母が考えるお宮参りのしきたりが大きく異なっていたり、どちらかの負担が大きくなってしまうと、せっかくのお祝いなのに後々への不満の種を残すことになってしまうことも。
そうならないためにも、前に必ず両家の祖父母の意見もよく聞いて、両家の意見を擦り合わせておくこと、負担はバランスを考えてお願いすることが必要です。
まとめ
お宮参りのマナーは昔よりもかなり自由になってきました。
しかし、これはあくまで核家族が増えた大都市圏の一例という声もあります。
日本の伝統行事であるお宮参りは、地域による違いが大きい行事のため、今でも昔ながらの伝統的なしきたりを大切にしている地域やご家庭がたくさんあるのも事実です。
パパやママの都合に合わせて行えるようになったのは良いことですが、自分たちの決めたことを押し付けるのではなく、事前に両家の祖父母の気持ちもよく聞き、こちらの考えや思いもしっかりと伝えて、誰にとっても気持ちよくお祝いできるお宮参りを目指すことが大切です。
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