【黒留袖の着こなし】選び方や覚えておきたいルールと基礎知識をわかりやすく解説
着ることになった黒留袖、どんな着こなしに気をつければよいのでしょうか。
事前に知っておきたい黒留袖の着こなしや、着るときのルールや覚えておきたい基礎知識を紹介します。
結婚式に着る黒留袖とはどんな着物?
既婚女性だけが着られる、最も格式が高い第一礼装の着物が「黒留袖」です。
五つ紋が入った黒地の着物のことで、生地には地模様のない縮緬が用いられています。
裾部分には、縫い合わせの上にも模様が続くように描かれた絵羽模様が入っているのが特徴です。
黒留袖を着られるのはどんな人?
黒留袖は結婚式や披露宴で着る礼装のため、新郎新婦の母親や祖母などの親族や、昔なら仲人夫人といった、新郎新婦に近い関係の人が着用します。
ではなぜ、新郎新婦の近しい親族が黒留袖を着るのでしょうか。
実は、最も格式の高い着物を身に着けて招待した方を迎えることで、足を運んでいただいたことに対して礼を尽くし、感謝の気持ちを表しているからなんです。
そのため、結婚式に招待された友人や同僚、仕事仲間などのゲスト側が黒留袖を着るのは、マナー違反になります。
黒留袖だけに定められたルールとは?
ルール1「五つ紋」
黒留袖には最も高い格となる染め抜き日向紋で、両胸、両袖の後ろ、背中にひとつずつ、全部で五つの家紋を入れるのが決まりです。
そのため、黒留袖は五つ紋のみ。
色留袖のように三つ紋や一つ紋を入れることはありません。
黒留袖の場合は、結婚式を挙げる式場やホテルでレンタルされる方も多いでしょう。
その場合、うちの家紋の入った黒留袖はあるの?
と心配される方もいるようですが、必ずしも実際の家紋でなくても問題はありません。
レンタルの場合は、誰でも使える通紋の場合がほとんど。
家紋が何かわからないという方は、レンタルを利用するといいでしょう。
中には貼り紋といって、家紋をシールのように貼り替えてくれるところもありますから、レンタルする前に確認してみては。
ルール2「比翼仕立て」
「比翼仕立て(ひよくじたて)」という仕立て方になっているのも、黒留袖の大きな特徴です。
昔は重ね着が正式だったため、長襦袢という下着の上に白羽二重の着物と黒留袖を二枚重ねて着ていました。
それがいつしか簡略化されるようになり、衿・袖口・おくみ・裾部分など、外から見える部分にだけ白羽二重の布を縫い付けて、重ね着しているように見せる比翼仕立てが主流に。
比翼仕立てにはお祝い事が重なりますようにという意味も込められています。
黒留袖の柄はどう選べばいいの?
実際に黒留袖を選ぶ場合には、新郎新婦との関係と自分の年齢にふさわしいものを選びましょう。
黒留袖の場合、一般的に
柄の描かれた面積が広く、高い位置にある程、若い方向けとされています。
柄の描かれた面積が狭く、裾の低い位置に柄がある程、年配の方向けとなります。
新郎新婦の母親なら、品格を感じさせる柄を選ぶのがポイント。
鶴や亀、松竹梅などの吉祥文様、伝統的な花菱や七宝などの有職文様など、
結婚式にふさわしい縁起のよい柄のものを。
柄の色数があまり多くないもの、
金銀の箔や刺繍が控えめなものを選ぶと、目立ちすぎることなく上品に装えます。
【関連記事】
50代の黒留袖 母親にふさわしい柄の選び方とは
黒留袖に合わせる帯や小物のルール
黒留袖を着る場合、合わせる帯や小物にもルールがあります。
帯は格調高い袋帯を
黒留袖に合わせる帯は、金糸や銀糸などを使用して多彩な文様を織り出した錦織や唐織などの格調高い袋帯を選びましょう。
帯の結び方は黒留袖の場合、二重太鼓(にじゅうだいこ)と決まっています。
帯の地色は白か、銀や金が一般的。
濃い地色はNGといわれています。
吉祥文様や有職文様、正倉院文様など、品格の感じられる模様がおすすめです。
帯揚げ、帯締めは白が基本
帯揚げや帯締めは白が基本。白地に金や銀が入っているものでもいいでしょう。
黒留袖に合わせる場合には、色物の帯揚げ、帯締めを使うことはありません。
長襦袢や足袋も白が基本
黒留袖の着こなしにおいて、黒留袖の下に着る長襦袢は、白が基本です。
半衿も白のみ。色や柄ものの半衿を合わせることはありません。
足袋も同様に白が基本です。
末広(扇)を帯に挿す
末広とは結婚式などの儀式のときに持つ、小ぶりの扇のこと。
祝儀扇とも呼ばれ、扇の骨の部分は黒塗り、広げた際の扇の表面は、金または銀のものが一般的です。
あくまで儀式用の飾りのため、あおいだりして使用するのではなく、
自身から見て体の左側に、帯と帯揚げの間に挟むように挿しておくのがルール。
ゲストのお出迎えやお見送りの時、集合写真を撮影する時などには、
末広が横向きになるように右手に持ち左手を添えます。
まとめ
黒留袖は、結婚式や披露宴で既婚女性が着用する、最も格式が高い着物です。
五つ紋の比翼仕立て、帯は袋帯、帯結びは二重太鼓、帯揚げ・帯締めは白が基本と、さまざまなルールがありますが、裏を返せば、それさえ覚えてしまえば礼を欠くようなことにはなりません。
黒留袖を着こなすための基礎知識を事前に知っておくことで、結婚式当日には、礼を尽くした美しい着物姿で、ゲストをお迎えすることができるようになります。
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