結婚式を和装で行うには？新郎新婦の基本スタイルと注意ポイントをわかりやすく説明

2025年3月10日結婚式#着物レンタル,#結婚式着物レンタル,#着物の格式

結婚式の和装といえば、新婦なら白無垢、色打掛、引き振袖が主流。
新郎が結婚式で和装を着る場合には、黒五つ紋付羽織袴か色紋付羽織袴となります。
日本の伝統美を詰め込んだ和装の花嫁衣裳は美しいものですが、実際にはどんな着物なの？ヘアスタイルは？着慣れていないから心配という声も多いため、新郎新婦の基本スタイルから、打掛の柄の意味や、着たときの身のこなし方なども紹介します。

和装で行える結婚式とは？

和装で行う結婚式には、主に神前式、仏前式、人前式があり、中でも人気が高いのが人前式です。

人前式は新郎新婦が自由に結婚式や披露宴をプランニングできるため、すべてを純和風にすることも出来れば、和装だけどチャペルで挙式、披露宴はガーデンウエディングスタイルも可能になります。

本格的な神前式は神社で執り行います。
仏前式も基本的には新郎新婦どちらかの家の宗派のお寺で行うことになります。
そのため、披露宴は移動して別の会場でというケースも多いようです。

神道や仏教にこだわりはなく、和装で挙式をするのが目的であれば、神殿があるホテルや結婚式場などでも可能です。

結婚式で新婦が着用できる和装とは？

和装の花嫁衣装は、白無垢、色打掛、引き振袖の３種類。
ここに最近は新和装と呼ばれる、ドレスの素材を使用した打掛などが含まれます。

白無垢

白無垢は、和装の花嫁衣装の中でもっとも格の高い正礼装といわれ、打掛から掛下（打掛の下に着る着物）、帯や小物に至るまで、すべてが白で統一されているのが特徴です。

白は神聖な色であり、邪気を払うことができるとか考えられていたことから、「穢れを知らない純真無垢」という意味が込められています。
また、白には無になる（今までの自分を捨て無になり新たな家に嫁ぐ）という意味も込められていたようです。

白無垢は白い無地の着物と思う方もいるようですが、実は日本古来より縁起がいいとされている吉祥文様などが刺繍されています。
どんな柄が刺繍されているかにも注目して、選んでみるといいでしょう。

色打掛

色打掛とは掛下（打掛の下に着る着物）の上に羽織る、白以外の打掛のことをいいます。
以前は白無垢よりも格下とされていましたが、いまでは白無垢と同格の正礼装の花嫁衣装とされています。

色打掛は白無垢を着たあとにお色直しで着ることの多い花嫁衣裳で、織りや刺しゅう、染めなどで華やかな模様が描かれているのが特徴です。
最近の色打掛は色のある掛下と合わせるなど、個性的な着こなしを楽しむケースも増えています。

神前式では角隠しを合わせて、披露宴では日本髪ではなく洋髪にするなどのアレンジも可能です。

引き振袖

引き振袖は大正時代から昭和初期にかけて人気となった花嫁衣裳です。
振袖は未婚女性の第一礼装ですから、結婚式の引き振袖は振袖を着る最後の機会となります。

引き振袖は、あえておはしょりを作らずに裾を地面に広げて引きずる形にすることで、美しい線を作り出しているのが特徴です。

とくに地色が黒の引き振袖は人気が高く、黒は他の色には染まらないことから「他の誰の色にも染まらない」という意味があるといわれています。
コーディネート次第でスタイリッシュにも、華やかにもアレンジすることができます。

新和装

新和装とは、ドレスに使われるオーガンジーという生地を打掛に仕立てたもの。

伝統的な花嫁衣裳の中に洋のエッセンスを取り入れた、モダンなデザインであることが特徴です。
いままでの和装とは異なる雰囲気を出したい方や、オーガンジーの透け感が涼しく見えるので夏の結婚式にも向いています。

さらに、くすみカラーの引き振り袖にドライブーケを合わせたり、掛下や小物に色柄ものを取り入れるなどのミックスコーデを提案しているところも増えています。

和洋折衷スタイルだから髪型もおしゃれな洋髪とも合わせられるため、新しい花嫁衣裳として人気を集めています。

結婚式で新郎が着用できる和装とは？

結婚式で新郎が着用できる和装は、黒五つ紋付羽織袴と色紋付羽織袴になります。

黒五つ紋付羽織袴

新郎が結婚式で和装にするなら、白無垢や打掛などの花嫁衣裳の格に合わせて、同じ最正装となる黒紋付き羽織袴を着用するのが一般的です。

黒五つ紋付羽織袴とは、高級絹織物である羽二重の生地で仕立てられた黒地の長着（着物）と羽織に、背中と両袖の後側、両胸元の5カ所に白地で家紋を染め抜いたもの。
羽織には白の羽織紐を合わせます。
袴は格式高い最高級生地といわれる仙台平（せんだいひら）の縞柄のものを身に着けます

紋には新郎の家紋を入れますが、レンタル衣装の場合は誰でも利用できる通紋を入れることになります。

黒五つ紋付き羽織袴は正装ですから、挙式と披露宴の両方に着用することができます。

色紋付羽織袴

最近は白や紺、グレーなど、新郎に似合う色紋付羽織袴を、お色直しの衣裳として選ぶ方が増えています。

自分の個性が出せる一方で、色紋付羽織袴は最正装である黒五つ紋付羽織袴よりも格が下がるため、厳格な神社での挙式では着用できない可能性もあります。
あらかじめ神社などに確認しておきましょう。

また、花嫁衣裳と格を揃えることも大切です。
そのため、新婦が最正装である白無垢や色打掛のときにはNG。

新婦が新和装のような洋風テイストやミックスコーデの花嫁衣裳のときに、新郎も色紋付羽織袴を合わせると素敵な装いになります。

打掛の柄の種類と意味を知って花嫁衣裳を選ぼう

花嫁衣裳を選ぶときには、色に注目される方が多いと思いますが、柄（文様）でも選べるのは和装ならではといえるでしょう。

和装の花嫁衣裳には、縁起がよいとされる吉祥文様という柄が描かれおり、実はそれぞれに意味や願いが込められています。どんな意味があるのかを知ったうえで、その柄に花嫁としての願いを乗せてみるのも素敵です。

また、柄の大きさやデザインの仕方によって印象も変わります。
身長が高い人なら大胆な柄、小柄な人なら細やかな柄が似合うといわれていますから、好みというだけでなく自分に似合う色柄を見つけてみましょう。

ここでは、縁起の良い柄の一例を紹介します。

鶴
鶴は決まった相手と添い遂げるといわれており、婚礼衣装には必ず2羽以上の鶴が描かれています。

亀
鶴は千年、亀は万年といわれており、長寿の象徴。甲羅の六角形をモチーフにした亀甲紋としてあしらうことが多いようです。

松竹梅
寒に耐える三つの植物を一緒に描いたおめでたい柄。松は不老長寿、竹は成長、梅は女性の強さを表現しています。

束ね熨斗
人と人との絆を表し、その長さから長寿の象徴でもあるおめでたい柄。折り目正しく重ねるという意味もあります。

宝尽くし
七宝、打ち出の小づち、巻物、宝袋など縁起の良い柄が集まった文様で、豊かな将来を願う意味が込められています。

桜
桜にはサ＝神、クラ＝座るの意味があり、桜は神様が降り立つ木と考えられているため、縁起の良い柄とされています。

牡丹
富貴や幸福を象徴する花として着物の柄に愛用されている牡丹。華やかな柄で花嫁を美しく見せてくれます。

鴛鴦
鴛鴦（おしどり）には雄と雌の仲睦まじい様子から、夫婦円満や生涯連れ添うなどの意味があります。

鳳凰
鳳凰は平和で幸せな世界が訪れるときに現れるとの言い伝えがあり、慶事を象徴する柄として知られています。

檜扇
檜扇（ひおうぎ）とは薄い檜で作られた扇のことで、雅な雰囲気と、形が末広がりで縁起が良いことから婚礼衣装にも最適な柄です。

和装の花嫁衣裳に欠かせない小物とその意味

和装の花嫁衣裳には、結婚式で身につけなければいけない小物があります。
小物とその意味を覚えておきましょう。

末広
花嫁が持つ扇子のことで、「末広がりに幸せが続くように」という意味から“すえひろ”と呼ばれています。

懐剣
もともとは護身用として持っていた花嫁道具のひとつ。房付きの袋に入れて、帯の左側に挿す短剣。もとは護身用の意味もあった花嫁道具のひとつ。

箱迫（はこせこ）
着物の胸もとに挟む、化粧ポーチ。上部には銀の飾りのついたかんざしの替えを挿しています。

帯揚げ・帯締め
一般的な着物の装いとは異なり、花嫁の帯締めは中に綿を詰めた丸ぐけというタイプを使用。帯揚げと色を揃えるのもポイント。

かかえ帯
帯の下部に巻く細い帯のこと。着物の長い裾をかかえるために用いられていたため、かかえ帯といわれています。

和装を美しく見せる結婚式のヘアスタイル

和装の花嫁衣裳には、伝統的なヘアスタイルを合わせることで、より美しく見せることができます。
また、新和装には洋髪を合わせることもできます。

文金高島田（ぶんきんたかしまだ）

武家の女性が儀式の場で結う髪型として、もっとも格が高かったのが「文金高島田（ぶんきんたかしまだ）」といわれています。

実際に結い上げるには長さや技術が必要なため、地毛の方はほとんどおらず、かつらが主流。
かつらの場合、結い上げた髪の高さや幅は着物のボリュームに合わせて考えられているため、綿帽子や角隠しとのバランスがいいのがポイント。

かつらといっても髪色や結い方、額の形などさまざまなので、試着はしっかり行いましょう。

綿帽子（わたぼうし）

白無垢に合わせて文金高島田の上にかぶる白い袋状のものを綿帽子といいます。
最近は洋髪用の綿帽子も登場。
挙式時にかぶり、披露宴では外すのが一般的です。

角隠し（つのかくし）

角隠しとは文金高島田の上にかぶる帯状の白い布のこと。
「角を隠して夫に従う」という意味が込められていて、白無垢のほか色打掛、引き振袖に合わせて着用します。

地毛で日本髪を結う

かつらが苦手な方には、地毛を生かして日本髪にしてもらうことも可能です。
髪の長さが肩まであれば、びんやまげを結ってもらうことが出来ますし、全体のボリューム調整もできます。ヘアスタイリストと相談して自分らしい日本髪にしてもらいましょう。

洋髪（ようはつ）

新和装や花嫁衣装をモダンに着こなしたい場合には、洋髪がオススメです。
着物の格とボリュームに負けないヘアスタイルにしてもらうこと。
花嫁衣裳の雰囲気に合わせたスタイルにしてもらうことも大切です。
仕上げに生花をあしらうことで、洋風の華やかな印象にすることもできます。

和装の花嫁衣裳を着るときの注意ポイント

花嫁衣裳として和装を選んだ際に、気をつけてほしいポイントがあります。

えり足やうなじのお手入れは必須

和装で気をつけたいのが襟足です。
着物を着付けるときには「衣紋（えもん）を抜く」といって、着物の後襟を引き下げて、襟足を見せるようにします。

とくに花嫁衣装の場合、首のつけ根が見えるくらい衣紋を抜くため、周囲の方にも襟足やうなじがよく見える状態です。

そのため、シェービングしておくことが大切です。
肌トラブルが起こる可能性もあるので、結婚式の直前ではなく5日前くらいにお手入れするといいでしょう。

しとやかに歩くことを心がけて

和装の場合、内股で歩くことを常に心がけましょう。

新郎と並んで立つときは新郎側の足を少しだけ後ろに引いて、反対側の足に体重をかけます。

歩くときは背筋はのばして、膝の力は抜いて両膝をすり合わせる感覚で内股にして、ゆっくりと足を運ぶことでしとやかな歩き方になります。

記念写真を見返したら、足を広げて立っていたということのないように、気をつけましょう。

手を振る、高く上げるのはNG

普段のように腕を高く上げたり、友人に手を振ったりすると、腕が丸出しになってしまううえ、着崩れの原因になってしまいます。

友人が写真を撮りに来たら、ついピースしたくなりますが、きれいな花嫁姿を写真に残したいなら我慢を。

和装の時は立つときも座るときも歩くときもゆっくりを心がけ、両手は重ねた状態にするなど、しとやかに振る舞うことを意識しましょう。

和装の花嫁衣裳をレンタルするには？

白無垢や色打掛、引き振袖などの和装の花嫁衣裳は、ホテルや結婚式場などでレンタルされる方がほとんどです。

しかし、着物専門のレンタルショップやネットレンタルでも、実は手軽にレンタルすることができます。

ただし、結婚式場で直接選ぶ場合とは異なり、オプションとしてセットになっている掛下や筥迫、衿などのデザインやカラーを変更できないことも多いようです。

また、セットになっている小物も必要な物がすべて揃っているのか、申し込む前に必ずチェックしましょう。

色打掛や白無垢のレンタル費用の相場とは？

花嫁衣裳のレンタルの相場は、色打掛で30万円前後、白無垢で20万円前後といわれていますが、ネットレンタルなら10万円前後でレンタルできるショップもあるので、費用を抑えたい方は利用してみてはいかがでしょうか。

会場によっては衣装の持ち込み料金が必要になるので、事前にそれも確認しておきましょう。

和婚のときの親族の着物とは？

結婚式の場合、親族は着物の格を考えて装うことが大切になります。

例えば、新郎新婦が白無垢に黒五つ紋付袴羽織という正礼装なら、両親も正礼装で新郎新婦と同格に装うことが大切です。

新郎新婦の母親なら、正礼装である黒留袖を着用しますし、父親も正礼装である黒五つ紋付羽織袴を着用することになります。

また、他の親族の方は以下のようになります。

・既婚の親族（祖母、伯母・叔母、姉、妹）は黒留袖または色留袖
・未婚の親族（叔母・叔母も、30代以降の姉や妹）は色留袖
・10代、20代の未婚の姉や妹なら振袖

既婚の親族なら黒留袖、未婚の親族なら色留袖、20代の未婚親族なら振袖が一般的です。
最近は、新郎新婦の母親よりも少し控えめの格になるようにと、いままでなら黒留袖を着用していた祖母や伯母が、あえて準礼装の色留袖を着用するケースもあるようです。

新郎新婦が和装だからといって、必ずしも親族が和装でなければいけないわけではありません。

父親の場合ならモーニングコートでの参列も可能ですし、夜の結婚式ならテールコート（燕尾服）を着用しても問題はありません。
母親ならアフタヌーンドレスや、夜の結婚式なら露出の少ないイブニングドレスを着用することもできます。
しかし、親族の服装でもっとも大切なのは両家に統一感があること。
新郎側の父親は黒五つ紋付羽織袴なのに、新婦側の父親はモーニングというのは、あまり好ましくありません。
せっかくの神前式や仏前式であれば、親族も和装で統一したほうがバランスがとれるのではないでしょうか。
事前に先方の親族は和装か洋装なのかを必ず確認して、どちらにするかは両家で相談して決めておくとよいでしょう。

まとめ

結婚式を和装で行う場合、漠然と色打掛や白無垢が着たいというだけでは、なかなか前に進むことができません。
最近は、伝統的な白無垢や色打掛、引き振袖などの和装に加え、オーガンジーを使用した新和装など、和洋折衷の新しいスタイルも人気を集めています。
そのため、本格的な神前式や仏前式、自由な人前式に加えて、和装でガーデンウエディングというスタイルもできないわけではありません。結婚式は多様化が進んでいるからこそ、どんな和婚にしたいのかを明確にすることが大切です。

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